<社説>那覇市議長辞任表明 職責果たすルール確立を


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 那覇市議会の議長辞職勧告決議を巡る混乱は金城徹議長が辞任を表明し、一応の収拾を見た。しかし議会の流会など異常事態の末の決着であり、混乱を繰り返さないルール作りが求められている。

 地方自治法上、議長の任期は「議員の任期による」とされ、文字通りなら4年の任期である。ただし多くの地方議会が議長交代のルールを独自に定め定着している。いわば議会の自主性が尊重され「良識ある判断と運営」に委ねられている。
 議長辞職勧告決議にも法的拘束力はない。同様に議長を含めた議会の「良識ある判断」に委ねられていると解するべきだろう。
 同市議会の長期の混乱が、議会の「良識ある判断と運営」に照らし、どうだったかが議長と議員の全体に問われているのである。
 議会は6月定例会での議長不信任決議に始まり4回の辞職関連決議を重ねた。議長が辞職勧告決議に応じないため、決議した議員が議場を退席し、臨時会が流会となった。このため市は、小学校改築工事の契約や河川の緊急対策工事予算などの議案を専決処分とする異例の対応を取らざるを得なかった。
 議会運営の問題点を列挙し辞職勧告を突きつけた多数の議員、これを不服とする議長、支持する議員の双方に言い分があろう。
 問題は市議会の「議長の辞職」という内部問題を議員自ら収拾できず議会が流会となり、市が専決処分に追い込まれたことだ。
 補正予算、決算など重要案件が付託された9月定例会も冒頭から混乱し、審議日程も決まらないまま議会初日から流会となった。
 議長の辞任表明でようやく正常化したものの、議会の「機能不全」が続けば、審議日程の遅れによる行政の停滞、市民生活、福祉にも大きな影響を与えた可能性がある。
 議長、議員の双方が市民、市当局から託された職責の重さを再確認する必要がある。議会流会の失態はもとより、「議案審議、採決日程への影響を回避する」という最低限のルールを確立してもらいたい。
 議長辞職問題とは別に、城間幹子市長の議会答弁が議事録から削除された問題も露見した。「誰が指示し、誰が削除したのか不明」では市民の誰も納得しない。
 議会議事録は議員の質疑、市当局の答弁の記録保存、検証資料となる重要な公文書だ。経緯を究明し市民に明らかにしてもらいたい。