<社説>台風18号 全力で復旧し今後も警戒を


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 国内に接近した台風の中で最も強い中心気圧905ヘクトパスカルまで発達した台風18号は久米島に最接近した後、島の西側を通過した。

 18号は急発達し、中心付近を通過した久米島では電柱が折れたり、体育施設の屋根が崩落したりするなど、町内に大きな爪痕を残した。被害実態の把握を進めながら、関係機関は、一致協力してライフラインの復旧作業に全力を挙げてほしい。
 県の被害状況まとめによると、農林水産業の被害額は約8462万円で、うち久米島町は約5689万円だった。空路は335便、クルーズ船1便が欠航し、3万7444人に影響が出た。
 18号の特徴は「コンパクトにまとまった台風」(沖縄気象台)だったことだ。中心に勢力が集中しているので中心に近づくと急に風が強まる。4日に915ヘクトパスカルから905ヘクトパスカルに急発達し、沖縄気象台は4日午後7時2分、特別警報を発表した。午後8時、2度目の会見を急きょ開いた。
 特別警報は、県外の場合、5千人以上の死者・行方不明者を出した伊勢湾台風級を想定し、中心気圧930ヘクトパスカル以下、最大風速50メートル以上が指標となっている。だが、台風の影響を受けやすい沖縄は、さらに強い910ヘクトパスカル以下、最大風速60メートル以上を基準としている。
 気象庁と沖縄気象台は、沖縄近海の海面水温が平年より高いなど台風を発達させる要因は確認していた。しかし、急発達は予測できなかった。なぜ急発達したのか検証を急ぎ、次の予報に生かしてほしい。
 専門家が指摘するように、特別警報の発表に課題を残した。特別警報は暴風警報のように市町村別に発表することはできない。沖縄の場合、沖縄本島地方、大東島地方、宮古島地方、八重山地方と4区分されている。
 今回甚大な被害が予想された久米島は、沖縄本島地方に区分される。久米島に警報を出すためには、沖縄本島地方という区分で出す結果となった。区分の細分化を含め、早急な改善を求めたい。
 10月の沖縄への台風接近数は平均3・6回で、今後とも警戒が必要だ。人身への被害防止を第一に、迅速な情報提供、農水産物への被害防止、航空、海上、陸上交通の安全確保、観光客への配慮などあらゆる面で台風対策に力を注ぐ必要がある。