<社説>公明陸上案検討 県本は国外・県外移設貫け


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 公明党の在沖米軍基地調査ワーキングチームが米軍普天間飛行場問題の解決策として、キャンプ・シュワブやキャンプ・ハンセンの施設内に移す陸上案を検討材料の一つに挙げていることが分かった。

 正式な議論はこれからのようだ。仮に陸上案が採用されれば、県本が掲げてきた国外・県外移設推進という公約との整合性が取れなくなる。有権者への十分な説明責任が必要だ。
 チームは党の国会議員や県本の県議らで構成されている。党本部は辺野古移設推進の立場で、県本との間でねじれが生じている。
 県本は1999年11月、当時の稲嶺恵一知事が辺野古移設の当初案を15年使用期限などの条件を付けて容認した際には「県内移設は原則的に反対だが、知事の苦渋の決断を重く受け止める」とするコメントを出し、移設容認の立場を取っていた。
 2009年8月の衆院選で、民主党政権が誕生し、当時の鳩山由紀夫首相が「最低でも県外」と表明し、辺野古移設計画を見直す考えを示した。この時期に公明県本も県内移設に反対し、国外・県外移設推進の姿勢に変わった。そして現在まで、この姿勢を堅持している。
 13年には県外移設を公約に掲げていた自民党の県選出国会議員と県連が党本部からの圧力で辺野古容認に転じたが、公明県本の姿勢は一切揺らぐことはなかった。
 この年の9月、県本は基地問題プロジェクトチームを設置し、県外移設や日米地位協定の抜本改定などを求める政策要求を論理的に構築した。12月には当時の仲井真弘多知事に対し、辺野古移設の埋め立て申請を承認しないよう求めている。このため知事が承認した際、県本は「県民への裏切り行為だ」と厳しく批判した。
 金城勉代表は幹事長時代に国外・県外移設を貫く理由について「沖縄に基地を押し込めようとする権力に沖縄は断じてノーと言うべきだ。ウチナーンチュの魂の叫び、権力に対する抵抗の意思だ」と説明している。県本の意思の強さが表れている。
 チームが検討材料の一つに挙げている陸上案は、沖縄に基地を押し込める案であり、県本が貫いてきた方針と相いれないはずだ。結論が陸上案になれば、県民への裏切り行為と見なされても仕方ない。県本はチームに対し、国外・県外移設を強く主張する必要がある。