<社説>国境なき記者団声明 取材の自由を保障せよ

 国際社会は、沖縄で取材の自由が脅かされていることを深く憂慮している。

 国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」(RSF)は、米軍北部訓練場でヘリパッド建設の取材に当たる琉球新報、沖縄タイムス両紙記者を警察が現場から排除したことなどについて「沖縄の報道の自由が脅かされている」とする声明を発表した。米軍による取材監視にも触れ、懸念を表明した。
 日本政府はRSFの声明を重く受け止めるべきだ。取材の自由、国民の知る権利の侵害は決して許されない。
 本紙記者は市民の座り込み行動を取材中に、県警の腕章をした警察官、機動隊員に拘束され強制排除された。記者は琉球新報社の腕章を着け、警察官に本紙記者であることを訴え、近くにいた弁護士も本社の記者であることを指摘していた。
 しかし、日本政府は記者拘束について事実関係を検証もせず、根拠も明らかにしないまま「報道の自由は十分に尊重されている」とする答弁書を閣議決定した。警察の恣意(しい)的な権限行使を擁護する無責任な決定である。RSFはこの答弁書に触れ「安倍晋三首相率いる政府は機動隊のこのような活動を容認し、ジャーナリストにとって危険な前例を作った」と問題視している。
 RSFは2002年から180カ国・地域を対象に報道自由度ランキングを作成している。日本は「12年に安倍氏が再び首相になって以来、報道の自由度が著しく低下している」と危惧する。16年は特定秘密保護法の影響で「自己検閲の状況に陥っている」と指摘され、72位と大幅に順位を下げた。
 一方、RSFは英国人ジャーナリストの取材監視にも触れ「日本国内での活動一切を注意深く監視していることを明確に示しており、極めて深い懸念を示す」と指摘している。
 国連の自由人権規約は、収集・発表・伝達の全ての過程が保障されることで表現の自由は実現するとしている。新聞に当てはめると、取材・報道・配布の自由が全て保障されることで、十分なジャーナリズム活動が実現することになる。
 報道の自由と同時に取材の自由が保障されなければ、国民の知る権利は弱体化する。権力の監視こそ報道の使命である。