<社説>沖縄大交易会 沖縄ブランドをアジアに


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 国内最大級の国際食品商談会「第3回沖縄大交易会」が2日間の日程を終えた。

 41都道府県から261社が出展し、バイヤーは当日参加を含めて15の国と地域から224社に増えて過去最多となった。
 沖縄から空路4時間圏内に約20億人が住んでいる。沖縄は全日空(ANA)の国際貨物ハブを使って20億人の巨大市場を抱えるアジアへの販路拡大が可能だ。大交易会をさらに発展させて、沖縄がアジアと日本を結ぶ物流と貿易の中枢的な役割を担う場となることを期待したい。
 大交易会は開催中の2日間、個別商談だけで2477件で第2回の商談件数から約3割増となった。フリー商談を含めると3千件を超えるとみられる。
 人口減少で国内市場が縮む中、海外に関心を持つ企業が増えていることも増加の要因だろう。
 全国の特産物をそろえたため、アジアの有力なバイヤーが沖縄に集まり、より多くのサプライヤーが出展した。海外バイヤーはシンガポール、香港、台湾、中国などアジア各地から参加している。2日間の商談会で海外のバイヤーと面談できる魅力がある。
 今後、大交易会がさらに成長するには現在の会場では収容能力に限界がある。県が与那原町と西原町のマリンタウン地区に建設する大型MICE施設の完成が待たれる。多目的ホールなどを一体的に利用することで約4万平方メートルを確保し大規模な国際会議や展示会、見本市、イベントが開催できるからだ。
 今回の交易会は事前に商品情報をビジネスマッチングサイトで紹介して、サプライヤーとバイヤーの要望を聞いて商談枠を設定する方法を評価する声が上がった。効率的に商談を進めるために、この事前マッチング型商談の利用を促進したい。
 一方、知名度の高い県産食品の取り扱いを視野に参加した海外のバイヤーから「『健康』『安全』は当たり前の時代になった。プラスアルファを求めている」という要望があった。今後は海外のニーズを意識した商品開発が求められる。
 県内企業が140万県民市場から20億人のアジア市場を目指し、アジアのスーパーマーケットに沖縄ブランドの商品が並ぶ。これが当たり前の風景になるチャンスは大いにある。