<社説>東京県人会60周年 若者に「夢はかなう」見せて


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 夢が熱く語られたフォーラムだった。沖縄愛を胸に東京で「飛躍」するウチナーンチュの姿に思いをはせた。

 東京沖縄県人会の創立60周年を記念した琉球新報移動編集局フォーラム「飛躍-在京沖縄県人の将来と課題」が26日、東京・板橋区立文化会館で開かれた。
 フォーラムでは登壇者から夢が次々と語られた。東京ドームでの沖縄フェスティバル開催、東京沖縄会館の建設、2020年東京五輪セレモニーで2020人の琉球舞踊「四ツ竹」披露-。
 首都東京に息づくウチナーンチュの結集力を印象付ける大きな話だ。会場は心躍るような期待感が満ちた。夢を目標として県人がつながり、郷里沖縄の発展にも貢献するという方向性が示された。
 基調講演したボクシング元WBA世界王者の具志堅用高氏は「頑張れば夢はかなう」とし、「夢をかなえるために大切な勇気と我慢は石垣島で少年時代に育まれたハングリー精神が基礎になった」と述べた。多くの若者を元気づける発信だ。
 東京大学副学長の南風原朝和氏は学術や実業の分野でもスターを生む土台をつくろうと呼び掛けた。「子が学ぶ風土をつくるには、まず大人が学ぶこと」という指摘は示唆に富む。
 東京沖縄県人会の設立は1950年代に沖縄で米軍が基地建設のために住民の土地を強制的に接収した「土地闘争」がきっかけだ。
 東京よりも歴史の長い川崎や横浜・鶴見、兵庫、大阪などの県人会は、大正から昭和にかけて出稼ぎに出た県人の相互扶助の場として設立され、母県を支える運動にも取り組んだ。
 とりわけ東京沖縄県人会は米軍施政権下に置かれた沖縄の厳しい時代背景の中で、故郷の土地と県民の利益を守るため奮起した。沖縄の日本復帰運動にも取り組み、親睦団体でありながら政治にも向き合った。圧政の下で一つ一つ政治課題に向き合ってきた沖縄に、絶えず寄り添ってきた60年間だった。
 仲松健雄会長は県人会の原点を「沖縄愛とふるさと貢献」と位置付ける。仲松会長の語った、東京沖縄会館の建設など三つの夢をぜひ実現してほしい。在京県人だけでなく、沖縄に貢献する取り組みだ。沖縄の若者に東京の地から「夢はかなう」を見せてほしい。