<社説>オスプレイ隠蔽 負担軽減へ再交渉せよ


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 オスプレイ沖縄配備を政府が隠蔽(いんぺい)した新事実がまた一つ明らかになった。日本側資料が明らかになるのは初めてだ。政府は日米会合の議事録を開示し、隠蔽の事実を認めて経緯を説明すべきだ。

 政府はオスプレイの沖縄配備計画をひた隠しにしてきた。1996年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告の草案に米側が配備を記したが、日本政府が削除させた。
 報道各社の追及、国会での質問に対し、政府は「知らぬ存ぜぬ」で押し通し、2010年に初めて沖縄配備計画を認めた。
 これまで米側資料から政府の隠蔽が明らかにされてきたが今回、97年の日米政府会合に提出された防衛施設庁資料に、MV22オスプレイ配備計画が明記されていたことが判明したのである。
 日米間で密接にオスプレイ沖縄配備を協議した動かぬ証拠である。
 政府はなぜ配備計画をひた隠しにしたのか。開発段階のオスプレイは墜落事故が相次ぎ、米軍関係者の間に「未亡人製造機」の蔑称すらあった。
 事故多発機の配備が公になると地元の反対で計画が頓挫しかねない。それを恐れ、政府はSACO最終報告草案から削らせ、米軍普天間飛行場の県内移設を巡っても長く隠蔽し続けたのである。
 在日、在沖米軍基地への新たな機種の配備計画、安全性・危険性の情報は地元住民の重大な関心事である。長年の情報隠蔽は県民、国民に対する重大な背信行為だ。国会で否定し、国民を欺き続けた政府・閣僚の罪は大きい。
 オスプレイの沖縄配備後に、政府は沖縄の負担軽減と称して、佐賀県ほかの在日米軍基地への暫定移駐、訓練分散を働き掛けてきた。
 同時に政府は巨費を投じ、米国からオスプレイを購入し、陸上自衛隊への配備を進めている。
 オスプレイ配備は沖縄から全国へと波及し国民を危険にさらしているのである。隠されてきた日米協議の全容、開発段階からの機種の安全性に関する情報を国民の前につまびらかにするよう政府に求める。
 オスプレイと同じ垂直離着陸機で同様に事故の危険性や騒音が指摘される米軍F35戦闘機の国内、県内配備も検証が必要だ。
 沖縄の基地負担軽減を名目にしたSACO合意の欺瞞(ぎまん)性がまた一つ暴かれた。日米間のうそのない開かれた再交渉が必要だ。