<社説>2016年回顧 重圧増す日米同盟 沖縄基地強化に屈しない

 明暗に彩られた沖縄の1年だった。
 第6回世界のウチナーンチュ大会、リオ五輪・パラリンピックの県勢の活躍は県民の心に希望と勇気の明かりを灯した。その一方で米軍属の女性暴行殺人事件や相次ぐ米軍機の墜落事故、北部訓練場内のヘリパッド建設、辺野古新基地の工事再開と米軍基地の重圧がさらに重く県民にのしかかった。
 政府は全国の機動隊や自衛隊ヘリを投入してヘリパッド建設を強行した。司法を巻き込み、最高裁判決のお墨付きを得て辺野古新基地の工事を再開した。三権分立どころか国家権力が一体となって沖縄に襲い掛かる観すらある。

国家権力に立ち向かう

 基地に反対する沖縄の民意を国家権力が組み伏す。その屈辱に県民が立ち向かった1年だった。
 安倍晋三首相は年末の28日、米ハワイ真珠湾でオバマ米大統領と「日米同盟強化」のセレモニーを演じた。沖縄のこの一年の米軍基地強化の動きは「日米同盟強化」の布石と見ることができよう。
 「日米同盟強化」のくびきとして在沖米軍基地強化が進められていることを見据えねばならない。
 年末にはヘリパッドの完成に伴う北部訓練場過半返還のセレモニーが行われ、政府が米国に確約する辺野古新基地の工事も再開された。女性暴行殺人事件をきっかけとした米軍属の適用範囲明確化の日米合意も発表された。
 その全てが「沖縄の負担軽減」を名目になされ、日米両政府が宣伝に利用した。いずれも県民の頭越しに決定され、県民不在の欺瞞(ぎまん)に満ちた新たな「沖縄統治政策」が推し進められている。
 米軍属女性暴行殺人事件に県民は深い悲しみと怒りに包まれた。ヘリパッド建設現場で大阪府警機動隊員が発した「土人」発言は、県民の心を深く傷つけた。米軍ハリアー機、オスプレイの墜落事故は改めて米軍機の危険性を突きつけた。立て続けに起きる米軍事件、事故と同時並行で「基地との共存」を強いる国策が強行されたのである。
 政府は基地建設に関わる対応の違法、不当性を閣議決定でことごとく否定した。土人発言は差別に当たらず、抗議の市民排除、記者拘束も問題なしと正当化した。沖縄防衛局職員が現認したオスプレイの民間地でのつり下げ訓練をも否定した。
 政府は墜落事故を起こしたオスプレイの飛行再開を容認した。基地建設と沖縄予算のリンクを公言し、来年度の沖縄関係予算を当初比で200億円も減額した。基地建設推進のために手段を選ばぬ政府のモラルハザード(倫理欠如)はとどまるところを知らない。

ウチナーの肝心支えに

 米軍基地の重圧の一方で、海外から過去最多の7千人余が沖縄を訪れたウチナーンチュ大会は県民に新たな希望を与えた。今大会は県内外の若い世代が交流を深めたことが大きな成果だった。若い世代の国境を超えたネットワークは、21世紀の沖縄が世界に雄飛する資源となることだろう。
 スポーツの祭典・リオ五輪に県勢は重量挙げの糸数陽一、バレーボール女子の座安琴希、自転車ロードレースの新城幸也、内間康平の計4選手が出場し、糸数選手は4位入賞を果たした。パラリンピックでは車いすラグビーの仲里進選手が日本の銅メダルに貢献。車いす陸上の上与那原寛和選手も2種目で入賞した。県勢の活躍に県民が心躍らせ、励まされた。
 空手の世界選手権で個人形の喜友名諒選手が2連覇を達成し、金城新、上村拓也の両選手が加わる団体形も金メダルに輝いた。
 心臓病を患う翁長希羽(のあ)ちゃん(2)、森川陽茉莉(ひまり)ちゃん(1)の多額の渡米手術費を多くの県民の善意が支えた。他者を思いやるウチナーンチュの肝心(チムグクル)は、世界に誇る宝である。
 基地沖縄の重圧は増しても「基地のない平和な沖縄」の未来像は揺るがない。ウチナーンチュの肝心を支えに歩み続けるしかない。