<社説>訓練の詳細不明 墜落事故再発は避けられぬ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 琉球新報、沖縄タイムスの地元2紙7日付は、墜落事故を起こした米軍MV22オスプレイが、事故原因となった「空中給油訓練を再開した」と報じた。いずれも「政府関係者」の情報としており、在日・在沖米軍、日本政府、沖縄防衛局は公式に発表していない。

 オスプレイがいつ、どこで給油訓練を再開したのか、米軍、日本政府ともに県民に明らかにしていないのである。
 これほど不誠実な対応がまかり通っていいものだろうか。
 米軍は訓練再開を通告したのみで再開の日時、場所は明らかにせず、政府も確認しようとしない。「いつ、どこで、どのように」の詳細は不明のまま、あたかも給油訓練が安全に再開されたかのような既成事実を積み上げている。米軍、政府の対応からは悪質な印象操作の意図さえうかがえる。
 米軍、政府の不誠実な対応に強く抗議し、改めて県民への詳細な情報公開を要求する。
 今回の事故は、空中給油機の直後を飛ぶオスプレイが、プロペラを破損後に墜落した。
 2012年に米国で起きたオスプレイ墜落事故は、前後に2機が飛行し、前方機の後流を受けた後方機が墜落した。ただでさえ飛行時の機体の不安定さが指摘されるオスプレイは、接近した2機直列の飛行自体が危険なのだ。
 今回の事故原因は「給油ホースがオスプレイのプロペラを損傷した」ことが原因とされ、防衛省は「強風、乱気流の環境要因」を説明している。
 危険な2機直列飛行の中で、給油機から延びる給油ホースが、給油機の固定翼から生じる乱気流でふらふらと揺れ、オスプレイのプロペラに絡まり損傷する。
 事故の状況がまざまざと目に浮かぶ。給油機の後方の気流の乱れは防ぎようがない。オスプレイの給油口がプロペラに近いことも大きな構造的欠陥だ。専門家は二重三重の構造的欠陥を指摘し「いかに訓練を積んでも危険を克服できない」「事故は再び起こる」と警告している。
 これらの事故原因、機体の欠陥構造、訓練の危険性の検証と説明がなされぬままの給油訓練再開である。既成事実として受け入れることは到底できない。
 事故時に機体を軟着陸させるオートローテーション機能の不備も従来指摘されている。欠陥機オスプレイは、配備を中止するしかない。