<社説>F35岩国配備 外来機の県内飛来やめよ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 米海兵隊の垂直離着陸型の最新鋭ステルス戦闘機F35Bが18日、岩国基地(山口県)に2機配備された。全部で10機配備され、沖縄県内の米軍嘉手納基地や普天間飛行場、伊江島補助飛行場などを使用する予定だ。米軍キャンプ・シュワブを使う可能性も指摘されている。

 米軍は嘉手納基地で格納庫や駐機場の整備、伊江島補助飛行場では強襲揚陸艦の甲板を模した着陸帯「LHDデッキ」の拡張工事を実施し、F35が県内基地を使う準備を着々と進めている。
 岩国基地所属機といえど、沖縄の空を飛び交うことは明らかで、騒音激化などの環境被害や事故の危険性が高まるのは間違いない。しかし、米軍にも防衛省にも県民の不安に対する配慮は見られない。
 F35はレーダーに探知されにくい高度なステルス機能を備えた「第5世代」の最新鋭機だ。同じく垂直離着陸型のAV8Bハリアー戦闘攻撃機や、F18ホーネット戦闘攻撃機と交代する。
 エンジンが単発である分、推進力が大きく、双発エンジンのF15戦闘機などに比べて騒音が大きい。
 その騒音の大きさについては米国内でも問題になった。フロリダ州バラパイソ市は、エグリン空軍基地へのF35配備で騒音が激化したとして空軍を提訴し、騒音緩和措置を取り付けて和解した事例がある。
 AV8Bは宜野湾市の上大謝名公民館で120・5デシベルを記録したこともある。騒音がより大きいとされるF35が民家に近い嘉手納基地や普天間飛行場で訓練をすれば、騒音はさらに激化する。
 F35は事故や不具合が頻発し、安全性にも疑問がある。事故やトラブルによる開発の遅れで、開発費は史上最高とされる約4千億ドル(約40兆円)が費やされた。
 昨年9月22日に、国頭村の辺戸岬から東約153キロの海上にAV8Bが墜落した。在日米軍を監視する団体リムピース編集長の頼和太郎氏はその後継機であるF35についても「AV8と同じような飛び方をするため、墜落の危険性は変わらないだろう」と指摘している。
 沖縄は在来機だけでもかなりの騒音被害があり、事故の不安も負っている。それらを軽減するにはF35の飛来を中止させ、無秩序な外来機の使用を見直すしかない。