<社説>辺野古ブロック投下 環境破壊止める手段尽くせ


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 政府は来週にも辺野古新基地建設を予定する周辺海域に大型コンクリートブロックを投下する。工事による汚濁防止膜の設置が目的だが、ブロックの大量投下自体、大規模な環境破壊にほかならない。

 民意を無視する政府の新基地建設強行に改めて強く抗議する。県はブロック投下をはじめ工事を阻止するあらゆる手だてを講じてほしい。
 投下される大型ブロックは228個と途方もない数だ。1個の重量は約11~14トン。少なくとも2500トン以上のブロックが、ジュゴンやサンゴが生息する優良な自然環境の海域に投下されるのだ。
 2015年に臨時制限区域を示すため投下された大型ブロックは多数のサンゴを破壊した。浮具などが設置された14年8月以降は同区域内のジュゴンの食(は)み跡やキャンプ・シュワブへのウミガメの上陸も確認されていない。
 ブロックの新たな大量投下は、同様なサンゴ破壊や貴重生物の生息環境を破壊する恐れが強い。
 政府は知事の埋め立て承認取り消しを違法とする最高裁判決以降、新基地建設の海上作業を急ピッチで進めている。県は工事再開前の事前協議を要求したが、政府は拒絶した。沖縄防衛局は、今回のブロック投入に関する県の再三の照会にも応じていない。
 15年のブロック投下時のようなサンゴ破壊が再び生じないか。投下の個数や場所、作業の手法を県がただすのは当然だ。最高裁判決で全てお墨付きを得たかのような政府の強引な対応は許されない。
 政府は県に対し、早急にブロック投下に関する説明を行うべきだ。県の事前協議に応じ、工事の全行程の説明を尽くす責任がある。
 ブロック投入は防衛局が設置した環境監視等委員会が、同局の説明を受け「サンゴへの影響を防げる」と承認のお墨付きを与えた。
 しかし監視委は、4人が新基地工事の受注業者から寄付金や報酬を受け、7人が環境影響評価書補正に関する防衛省の研究会の委員だったことが発覚するなど、工事を進める政府、業者寄りの疑念が拭えない。
 防衛局の一方的な説明を受けた監視委の「お墨付き」を、直ちに了解するわけにはいかない。監視委への監視が不可欠であり、県が検証するのは当然だ。
 客観、中立性が疑われる監視委の在り方を含め、環境影響、保全策の全体を問い直さねばならない。