<社説>琉球新報活動賞 受賞者の情熱に学びたい


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 第39回琉球新報活動賞は各分野で先駆的な活動を展開し、豊かな社会づくりに大きく貢献している6団体、5氏に贈られる。

 社会活動部門のリュウキュウフロッグス(比屋根隆理事長)は、県内中高校生・大学生を対象に米シリコンバレー派遣などの人材育成プログラムを実施。教育活動部門の甲斐崇氏(県立総合教育センター研究主事)はNIE(教育に新聞を)活動をけん引する。出版文化活動部門の沖縄時事出版(名幸諄子社長)は長年、教師と共に自主教材の編集・出版に取り組んできた。
 いずれも沖縄の将来を担う子どもたちの可能性を切り開き、後押しする取り組みである。高く評価したい。
 社会活動部門のフードバンクセカンドハーベスト沖縄(奥平智子代表)は、食べられるのに破棄される食料を必要とする人に届けている。教育活動部門の浦添小学校PTA(梁裕之会長)は、子どもの貧困対策として「てぃーだこども食堂」を運営し、お下がりの衣類と分からないように贈る「ハッピーギフト」も展開している。
 両団体の温かなまなざしが善意の輪を広げ、地域を明るくしている。その活動に深く感謝したい。
 産業活動部門の県車海老漁業協同組合(安里一月代表理事組合長)は試練を乗り越え、県産クルマエビのブランド化に成功し、生産量は日本一を誇る。知念律子氏(ファッションキャンディ社長)の夢を吹き込む菓子作りが生み出す商品は、観光土産品としても人気を集めている。
 沖縄の特性を生かした取り組みは多くの分野でも参考になろう。
 文化・芸術活動部門の平良美恵子氏(喜如嘉芭蕉布事業協同組合理事長)は芭蕉布の制作、普及、後継者育成に努めている。新城喜一氏と新城栄徳氏は、舞台美術家として沖縄芝居を支えてきた。地域振興活動部門の山原島酒之会(崎浜清会長)は「すべての家庭の床の間に古酒甕(クースガーミ)を」を掲げ、古酒文化の普及などに取り組んでいる。
 沖縄が誇るさまざまな文化・芸術は県民に誇りを与え、精神的な豊かさをもたらす。それぞれの活動が持つ意義は計り知れない。
 社会の健全な発展には人材育成、産業振興、文化の継承、さまざまな扶助の充実が欠かせない。その実現に力を注ぐ団体、個人の情熱に学びたい。