<社説>知事県政運営方針 辺野古阻止に全力を注げ


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 翁長雄志知事は公約を堅持し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設阻止に注力してもらいたい。

 2月定例県議会の県政運営方針表明の冒頭で、知事は「過重な基地負担の軽減、辺野古に新基地は造らせないことを引き続き県政運営の柱に、全力で取り組む」と新たな決意を示した。
 辺野古新基地建設は埋め立て承認取り消しの最高裁判決を受けて政府が海上工事に着手し、有効な阻止策の手詰まり感は否めない。
 公約は政治家の命である。知事選で圧倒的多数の信任を得た辺野古新基地阻止の公約を、知事は日米両政府の圧力に屈せず貫き通す責任がある。
 知事は「普天間飛行場の5年以内の運用停止、危険性の除去を政府に強く求める」とも述べた。
 米軍基地の県内たらい回しは許されない。「普天間飛行場の閉鎖と県外移設」を同時並行で解決する姿勢を堅持してもらいたい。
 辺野古新基地阻止の具体策についての言及はなかった。政府は岩礁破砕の更新申請を行わず強引に工事を進める構えだが、新たな提訴や埋め立て承認の撤回などあらゆる手立てを尽くすべきだ。
 経済面では始動した「アジア経済戦略構想」の推進を前面に押し出した。福建省との経済交流覚書締結を皮切りに本土企業のアジア向け製品工場の参入など、構想は早くも飛躍の兆しを見せている。
 日本とアジアのハブ機能に着目する国内外の企業、政府への折衝が大事だ。「戦略推進室」の新設など態勢を強化し、新規の企業立地など実績を積み上げたい。
 アジア構想の成功は経済面での沖縄の「地理的優位性」を証明し、軍事の「地理的優位性」を払拭(ふっしょく)する。県内総生産、県民所得を向上させ県財政の基盤を強化することが政府の「基地と振興策のリンク」への対抗手段ともなる。
 知事は島言葉やウチナー文化の普及継承、子どもの貧困問題の解消、離島振興など県政の重要課題を列挙した。
 県内は基地問題の閉塞(へいそく)感や貧困問題などの一方、好調な景気や失業率改善など明るい要素も多い。
 知事は県政運営方針を着実に推進し、その中で示した「誇りある豊かさ」を実現してもらいたい。
 安慶田光男前副知事の辞任で生じた県政への不信感を解消し、新副知事の起用を含め、執行態勢の建て直しが急務だ。