<社説>那覇市議会政活費 透明性高める努力さらに


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 那覇市議会は政務活動費の領収書を2016年度分からインターネット上で公開する。県内自治体では初の取り組みである。他の議会も続いてほしい。

 政活費は、調査研究に必要な旅費や資料購入費などとして会派や議員に支給される。領収書などの資料は各議会で閲覧できるが、膨大な量を一度に閲覧するのは困難と言っていい。全てをコピーすることもできるが、多大な費用がかかる。
 この公開方法が結果的に政活費の中身を住民の目から遠ざけ、不正使用の温床となったことは否めない。昨年、富山市議会で政活費の不正使用が発覚し13人が辞職するなど、ずさんな使い方が全国で次々に明らかになっている。
 全国的に政活費の透明化を求める声が高まる中、那覇市議会が領収書のネット公開に踏み出すことを評価したい。だが、これで終わらせてはならない。領収書のネット公開は、政活費透明化に向けた第一歩と位置付けるべきである。
 支出を記載した出納簿など政活費に関する全ての資料をネット上で公開するなど、透明性をさらに高める努力を求めたい。
 政活費の使用が適正かどうかが見えにくいままでは、住民の不信を払拭(ふっしょく)することは難しい。現状は議員にとっても、住民にとっても好ましくない。
 今、議会に求められていることは政活費の十分な透明化を図ることだ。議会が自らを厳しく律する姿勢を示し、それを実行することで、住民の議会に対する信頼は厚みを増すはずだ。議員は住民全体の奉仕者であることを考えれば、手間がかかることなどを実施しない理由にしてはならない。
 京都府京丹後市は全国に先駆けて政活費の後払いを実施している。栃木県矢板市も17年度から後払いに移行する。那覇市も年度分の半期ごと支給を見直し、領収書に基づく後払い制にすることを検討してほしい。
 政活費支給方法の見直しは那覇市だけでなく、政活費を支給する全ての自治体で取り組むべきである。
 適正使用はもとより、実効性がなければ、政活費は意味を成さない。議員は、政活費を活用して得た成果を地域に還元する責務がある。政活費を使う議員はそのことを改めて認識し、住民が豊かさを実感する地域づくりにさらに邁進(まいしん)することを期待したい。