<社説>県営住宅保証人 入居条件を見直すべきだ


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 公的な支援を必要とする人たちが入居できないのはおかしい。

 県住宅供給公社の2016年度県営住宅募集のしおりに、入居希望者の連帯保証人の条件が、県条例には明示されていない「年収200万円以上」などと記載されていることが分かった。連帯保証人が見つからず入居申し込みを取り下げざるを得なかった人や、連帯保証人が条件を満たさないために収入申告書を受理されず、家賃が3倍に上がると通達された人もいる。
 公営住宅は県民、市町村民であれば誰でも入居可能で、生活困窮者を優先するのが本来の姿だ。県は、早急に県営住宅の入居条件を見直すべきだ。
 県住宅供給公社のしおりは、連帯保証人の条件が(1)できるだけ県内に住んでいる人(2)公営住宅に入居していない人(3)現在の職場で年収が200万円以上ある人(自営業は所得が130万円以上ある人)-など6点を挙げている。
 しかし、条件の根拠となる「県営住宅の設置及び管理に関する条例」には「入居決定者と同程度以上の収入を有する者」と記述しているだけだ。
 沖縄県の15年の1人当たり県民所得は216万円で、全国平均の約7割しかない。年収200万円以上という連帯保証人の条件は厳し過ぎる。
 県公共施設等総合管理計画によると、県営団地の募集倍率は14年度で全域平均16・8倍で、全国平均の5・8倍より約3倍も高い。16年度は全域で12・4倍で、このうち、南部地区が17・6倍で最も高く八重山地区の12・3倍、中部地区の12・2倍が続いた。
 県は「公営住宅を必要とする低所得者世帯が多い」ため、募集倍率が高いと分析している。しかし、連帯保証人などの入居条件を見て応募を諦めた希望者もいるのではないか。
 そもそも公営住宅とは「住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」(公営住宅法第1条)すると定義されている。国は1996年「入居者の努力にかかわらず、保証人が見つからない場合には、保証人の免除などの配慮を行うべきである」と通知している。
 県も特別の事情がある場合「連帯保証人の連署を必要としない」と条例に記載している。県が判断すれば、所得条件の緩和や連帯保証人の免除は可能なはずだ。