<社説>未成年飲酒運転 県民一人一人の課題だ


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 1週間に約14人、毎日2人が逮捕されている。本紙が2015年4月から掲載を始めた飲酒運転逮捕者の記録を基にした結果だ。17年3月2日までの97週に逮捕されたのは1346人に上る。

 5日には那覇市内で、酒気帯びでバイクを運転した女子中学生が逮捕された。女子中学生からは基準値の約2倍のアルコールが検出されたという。
 2月には男子小学生が酒気帯びでバイクを運転し、同乗していた男子中学生らが死傷する事故も起きた。
 09年に県の飲酒運転根絶条例ができ、社会全体の課題として警察や県、市町村、民間も一丸となって対策を取ってきたが、費やした労力と結果が見合っていない。
 取り締まりや啓発活動の強化だけでなく、県民全員の課題として一人一人が意識改革しなければならない。
 中でも飲酒運転の低年齢化は早急に対策を取らねばならない。県警によると、16年に発生した飲酒絡みの交通死亡事故13件のうち、未成年者による事故は6件、46%もある。警察庁の統計では、10~14年に起きた飲酒絡みの死亡事故1281件中、未成年者は58件、5%である。
 県内で未成年者の飲酒死亡事故は16年までの過去10年間、0~2件で推移してきた。16年の突出ぶりは全国の傾向と比べて異常だ。
 背景には未成年者が簡単にアルコール類を手にできる社会環境があるのではないか。さらに飲酒運転しても「見つからなければ」という社会の風潮はないだろうか。
 飲酒運転で摘発された人を対象に、県警が行った調査では回答の73%に当たる1072人が「酒を飲んだ後、車を運転するつもりだった」と答えている。
 こうした意識の低さが飲酒運転を助長し、未成年者にも伝わってはいないか。取り締まりの強化は当然として、飲酒運転の根絶に向けた啓発活動は、小学校も対象に今以上の力を注ぐべきだ。
 県内で飲酒絡みの人身事故は16年に109件起きた。全ての人身事故5491件に占める割合は1・99%で全国平均0・79%の約2・5倍にも上る。27年連続で全国ワーストという不名誉が続いている。
 飲酒運転根絶に猶予はない。県民全てが自らの課題として受け止めなければ改善はない。一刻も早く汚名を返上せねばなるまい。