<社説>山城氏勾留5カ月 「禁錮」状態から解放せよ

 日本の刑事司法と人権感覚が、国際社会から厳しく問われている。

 基地新設と機能強化に反対する行動を巡り、公務執行妨害などで逮捕・起訴された沖縄平和運動センターの山城博治議長が13日、妻との接見をようやく果たした。昨年10月17日の最初の逮捕から実に148日がたったが、本人の保釈は退けられたままだ。
 弁護団による10回を超える接見禁止解除の申し立てを退けてきた那覇地裁は10日付で、一部解除を認める決定を出していた。その判断は遅きに失する。「人権の砦(とりで)」であるはずの裁判所の感覚を疑わざるを得ない。
 17日の初公判を待たず、山城議長本人が保釈されねばならない。弁護団が指摘する通り、山城議長の容疑は器物損壊など微罪と形容するしかない。証拠隠滅も逃亡の恐れもないのである。
 辺野古新基地と高江ヘリパッドの建設に抗(あらが)う行動は思想・信条の自由を体現したものだ。山城議長の逮捕と長期勾留は、強権的に新基地建設と基地機能強化を推し進める安倍政権の意に沿わない反対運動を組み敷き、萎縮させる狙いがあることは間違いない。
 がんを患い、体調悪化が懸念される山城議長は12日まで体調を熟知する妻との接見さえ認められなかった。法廷で裁かれる前に、独房で5カ月近い禁錮刑に処せられたに等しい。人権が軽んじられる独裁国家でみられる政治犯への弾圧に近い処遇である。その厳然たる事実は動かない。
 捜査当局の筋書き通りに全ての罪を認めない限り、精神的な支援を遮断して自白を迫るための勾留を続ける「人質司法」の悪弊に裁判所が手を貸した。山城議長の長期勾留はその象徴的なケースとして刑事司法に汚点を残すだろう。
 こうした異常な人権抑圧に対し、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルが釈放を求める緊急行動に取り組んでいる。国連人権理事会で、非政府組織の国際人権活動日本委員会が「国際人権規約に違反する」として即時釈放を求める声明を出したばかりだ。
 警察法が定める「不偏不党」「公正中立」「権限濫用の禁止」がないがしろにされ、歯止めをかけるべき裁判所が機能を果たしていない。治安維持を名目に、政治弾圧が繰り広げられた戦前の「警察国家」に戻る瀬戸際に立たされているという危機感を抱く。