<社説>下地島空港利活用 国際リゾート拠点目指そう

 懸案だった下地島空港(宮古島市)の民間利用がスタートラインに立った。空港の利活用だけでなく、沖縄観光に新たな魅力を与え得る計画だ。

 県は、旅客ターミナルの整備・運営を担う三菱地所(東京)と、パイロット養成のFSO(北谷町)の2社と提案事業で基本合意した。
 特に経済効果が見込まれるのは三菱地所の計画だ。同社は旅客ターミナルを整備し、プライベート機や台湾、中国などの海外路線、格安航空会社(LCC)の誘致を進める。
 国内では海外の経済人らが使うビジネス機専用の税関、出入国管理、検疫施設(CIQ)のあるターミナルが成田や羽田、県営名古屋などの空港で整備されている。しかし下地島空港の計画は観光需要に特化する点で珍しい。プライベート機を持つような富裕層の利用を想定しており、長期滞在を見込める国内有数のリゾート地としての宮古島、ひいては沖縄の地位を高める。
 6月からターミナルの新築工事と開業準備を始め、2018年10月には開業の予定だ。周辺でのリゾート施設整備にも意欲を見せており、より高価格で質の高い観光業が集約される可能性がある。
 もう1社の進出企業は県内の航空関連ベンチャーであるFSOだ。模擬飛行訓練装置と実機を活用して、日本と米国のパイロット資格が取得できる教育訓練を実施する。航空需要が増加するアジアのパイロット不足を見通し、国内だけでなく周辺諸国からの訓練生受け入れを構想する。18年4月の開業予定だ。
 下地島空港は民間パイロットの訓練専用空港として設置され、1971年には屋良朝苗琉球政府行政主席が日本政府と、いわゆる「屋良覚書」を交わし、軍事利用を封じ、使用方法の決定権は琉球政府にあるとした。だが、民間航空会社の撤退に伴い、防衛省が2013年に調査研究費を予算化して自衛隊の利用を模索するなど、屋良覚書を無視しかねない動きがあった。
 美しい海に囲まれた下地島にふさわしいのはアジアの経済成長を取り込んだ国際リゾートである。軍事拠点ではない。
 県はこれから開発の余地の残る周辺用地にホテルなどの新たな企業を呼び込み、空港とリゾートが一体となった総合的な国際観光地形成を目指してほしい。