<社説>地価4年連続上昇 県経済の力強さの証しだ


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 沖縄経済の力強さが示された。国土交通省が発表した2017年1月1日現在の公示地価は、県内の全用途の平均が前年比プラス3・1%で4年連続の上昇となった。

 県内住宅地(上昇率3・0%)、工業地(同4・5%)は全国最高の値を示した。商業地も同3・2%で全国5位と景気拡大が続く沖縄の好景気を反映している。
 全国的には東京、大阪、名古屋の三大都市圏が全体を押し上げた一方、35道県の商業地がマイナスとなり、地方との格差が拡大している。緩やかとはいえ景気が回復傾向にある中、まだ地方への影響は限定的だ。
 沖縄は観光客の増加、人口や世帯の増加に伴う個人消費が堅調であり、伸びしろはまだある。
 今年の県内の特徴は那覇市を核とした周辺市町村への波及と、全国最大の上昇率となった工業地の土地需要が旺盛なことだ。
 住宅地と商業地は土地供給が少ない那覇市から割安感のある周辺市町村に需要が拡大している。22年ぶりの地価上昇となった14年は、市町村別で見ると上昇に転じたのは住宅地が7市町村、商業地が4市町村にとどまった。17年は住宅地で18市町村、商業地で11市町村が上昇に転じている。
 この間、観光客数は14年度の716万人から100万人以上伸び、16年度は870万人と見込まれる。こうした経済の好調さからホテル建設需要などが高まっているほか、北中城村や北谷町など基地返還による跡地利用効果なども地価上昇に貢献したといえる。
 工業地では那覇空港のハブ化と道路整備などが相乗効果を発揮し、糸満市や豊見城市を中心に物流関連の用地需要が増えている。中でも道路開通によって那覇空港への移動時間が短縮され、利便性が高まった糸満市の糸満工業団地は9・3%と特に上昇率が高かった。
 日本銀行のマイナス金利政策による空前の低金利時代で資金調達面で追い風が吹いているとはいえ、地価上昇はいずれも好調な経済に裏打ちされた沖縄の底力を示すものといえる。
 一方で本島北部や宮古島は、住宅地、商業地とも横ばいか、わずかながら下降している地域がある。人口の多い本島中南部や観光地として人気のある石垣島などに開発が集中し、県内でも二極化が進行している可能性もある。バブル期のような地価高騰に注意した県土の均衡ある発展が望まれる。