<社説>恩納「流弾」被害 米軍は住民の不安直視せよ

 重要な証拠を持ち去り、県の立ち入り申請にも即座に応じない。事実解明に後ろ向きな在沖米軍の姿勢は許し難い。強く抗議する。

 恩納村の米軍キャンプ・ハンセン内の安富祖ダム工事現場で、民間作業員の車と水タンクが破損した件に対する米軍の非協力姿勢が際立っている。
 近くに落ちていた銃弾らしきものの写真を見ると、銃弾以外考えられない。米軍の射撃訓練の流弾とみるのが自然である。
 実際、沖縄防衛局は被害が明らかになった14日、米海兵隊に抗議し、原因究明などを米軍に求めている。米軍によるものと判断した上での抗議だろう。
 米軍は「調査が終わるまで、関係する可能性のある射撃場の使用を一時的に中止する」としている。米軍の調査が、2008年に発生した金武町伊芸区の車両被弾の二の舞になることを強く危惧する。
 伊芸区での被弾では、銃弾は米軍で広く使われる「M33普通弾」50口径と判明した。だが米軍は「海兵隊による最近の訓練とは直接的に関係はない」とし、責任を認めなかった。今回も、責任を認めない可能性がある。
 事実関係を明らかにするのに不可欠な証拠を「回収」した米軍には回収物が銃弾か、米軍のものなのかを説明する義務がある。責任の所在を含め、事実関係はとうに判明しているのではないか。いまだ「調査中」では米軍の調査能力が疑われる。
 傷ついた水タンクは基地のゲートからわずか100メートルほどしか離れていない。ゲートから安富祖集落までは約400メートルである。一歩間違えば、作業員や住民が被害を受けた可能性はあった。しかも、今後ないとも限らない。
 県民の安全を預かる県が立ち入って状況を確認するのは当然だ。米軍は直ちに県の立ち入りを認めるべきである。
 米軍は県警の捜査協力要請にも応じるべきだ。「軍事上の機密」などを盾に拒むことは許されない。拒否することは、米軍にとって不都合な事実は解明しないと言うに等しい。
 防衛局が米軍に「再発防止」を求めたことからして、民間の所有物が米軍の流弾で破損したと断定していいだろう。米軍の安全対策に欠陥があるのは明らかだ。訓練廃止しかない。米軍は住民の不安を直視すべきだ。