<社説>ネット被害増加 「無視」が最も有効な対策だ


この記事を書いた人 琉球新報社

 インターネットを介した消費者被害が後を絶たない。県消費生活センターがまとめた2016年度の速報値では、苦情・相談5940件中、アダルト情報サイト、出会い系サイトなど「デジタルコンテンツ」に関するものが966件(16%)で最多だった。

 デジタル関係は14年度に5409件中958件(18%)、15年度も5872件中1005件(17%)で、苦情・相談に占める割合が6年連続で最多となるのは確実とみられる。被害は今後も続く恐れがあるが、こうした詐欺などには「無視」が最も有効だと知ってほしい。
 被害内容は大きく変わっていない。アダルトサイトなどに接続した際、登録されたと偽り、高額な請求をする手口だ。企業や公的機関を語り、メールで登録料や遅延を理由に金銭を要求するというものもある。
 センターによると、被害に遭った人が調査名目などでさらに金銭を支払う二次被害も出ている。どれも被害者側の「人に知られたくない」という心理につけ込んだ卑劣な手口だ。
 だが不安がる必要は全くない。例えば「登録されました」と画面に数字の羅列や個人情報らしきものが表示される。これは通信会社が割り当てた識別番号などで、個人が特定されることは絶対ない。
 最近では、沖縄市で女性が有料サイトの未納料金名目でギフト券50万円分を購入し、被害に遭った事件があった。通常の企業であれば利便性の高いカード決済などを選択する。手間の掛かるギフト券を要求することはあり得ない。ギフト券購入を求めるのは間違いなく詐欺だ。こうした請求が来た場合、警察に届ければ確実に防げる。
 一方で全国的にはネットで犯罪に巻き込まれた18歳未満の子どもが、16年に過去最多の1736人となった。統計を開始した08年に比べ倍以上となっている。
 事業者による対策が進むが、利用者側も悪質なサイトへの接続を制限する機能を活用すれば被害を未然に防げる。子どもに携帯端末を使わせる保護者は対策を取ってほしい。
 ネット社会の危険は指摘されて久しいが、知識と対策さえあれば、防ぐことはそれほど難しくない。
 警察をはじめとする公的機関の対策と、ネット社会に生きるための自己防衛は、犯罪撲滅への両輪であることを改めて確認したい。