<社説>普天間離着陸調査 約束通り運用を停止せよ


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 県が初の米軍普天間飛行場離着陸実態調査の結果を発表した。

 日米両政府は昨年9月、負担軽減のため普天間所属のオスプレイの県外・国外での訓練を拡大することに合意した。しかし、今回の調査で訓練の県外移転効果は限定的であることが分かった。
 訓練移転という小手先の対応では負担軽減にならない。オスプレイ24機の配備撤回が必要だ。同時に、安倍晋三首相には、自ら県に約束した普天間飛行場の「5年以内の運用停止」を実行してもらわねばならない。
 調査は2、3月の2カ月間、24時間体制で実施した。その結果、オスプレイ6機、CH53ヘリ3機の県外訓練移転が実施された3月6~17日の普天間飛行場でのオスプレイの離着陸回数は、期間中の1日平均7・7回から5・3回に減少した。だが、全機種の離着陸総数は期間中の1日平均43・8回から46・7回に増加した。
 夜間飛行を制限している午後10時以降、オスプレイの飛行は11回あった。日米で合意した騒音規制措置(騒音防止協定)は、米軍が運用上必要だとすれば夜間訓練が可能なため米軍を縛れない。これでは協定を結んだ意味がない。
 普天間飛行場の運用状況を巡っては、沖縄防衛局が午前6時から午後6時まで目視調査している。県は防衛局からこの調査結果の提供を受けてきたが、深夜・早朝の運用実態は分かっていなかった。また防衛局はオスプレイの離着陸回数のみを公表しており、その他のヘリコプターや外来の固定翼機などのデータが不足していた。県の調査で実態が判明したが、本来なら国が責任を持って調査すべきである。
 一方、今回は離着陸回数のみの調査だったが、騒音に関して宜野湾市へ寄せられる苦情は増加している。昨年度は過去最多の398件に上った。現在の騒音測定方法では、オスプレイに特徴的な低周波音を把握しづらいという指摘もある。心身への影響が懸念される。
 昨年12月のオスプレイ墜落後、今年1月に大型ヘリの夜間の異常音や、うるま市伊計島でのヘリ不時着など普天間所属機の問題が続いている。
 普天間飛行場は沖縄戦の最中に、住民から土地を奪って建設された。私有財産の没収を禁じるハーグ陸戦協定違反であり、無条件で閉鎖すべき施設である。