<社説>県内設備投資大幅増 足腰強い経済構築に期待


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 好調な県経済を反映し、県内主要企業の2017年度の設備投資額は大幅に増え、全産業で1481億7200万円となる。沖縄振興開発金融公庫の調査で分かった。

 16年度の実績見込みに比べ34・6%の増となり、那覇空港の大規模工事があった1998年度の48・8%に次いで、過去2番目の伸び率となった。
 「景気のエンジン」といわれる設備投資の伸びは、日銀や銀行系調査機関の統計で示される通り、県経済が拡大基調にあることの裏付けだ。
 好調を維持するとともに、県経済の課題である製造業の育成や海外への展開など足腰を強め、未来につながる投資が増えていくことを期待したい。
 沖縄公庫の調査では、設備投資計画がある企業は61・3%で98年度以来の6割超となった。企業の意欲も高い水準を維持している。
 観光客が右肩上がりで増え、国内でも少ない人口増加地域の沖縄では消費が好調だ。好況なときには企業がモノやサービスの提供を増やすため、積極的に投資して世の中にお金が循環し、さらに成長を促す。これが「設備投資は景気のエンジン」とされる理由だ。
 県内設備投資額の約94%を占める非製造業は、ホテルなどの改装工事などが完了してやや減少したものの、航空機・船舶の更新、空港施設の増改築といった能力拡充、卸・小売りの物流拠点移転などが伸びている。
 企業がこれらの分野に投資するのは、観光や消費に伸びしろがあることを示しているといえる。
 設備投資の内訳にも未来への期待を感じさせる項目がある。
 投資動機では老朽化への対応や既存施設を維持・補修する更新投資が46・2%と最多だ。だが16年度見込みと17年度計画を比較すると、更新投資は2・4ポイント減少した。
 これに対し、割合こそ少ないものの新分野投資は12・6%から14・8%へと増えている。新分野投資は新製品の生産、新店舗設置、異業種進出などが理由である。少しずつとはいえ、企業の挑戦意欲が伝わってくる。
 各企業の商品やサービス、経営方針によって設備投資の方向性は決まる。これに加え、未来の県経済がどうあるべきかという視点が加われば、個別企業の繁栄にとどまらず、沖縄県全体としての発展が見込まれる。各企業の新たな挑戦が始まることにも期待したい。