<社説>ハワイ沖縄プラザ 県民の募金で恩に報いたい


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 ハワイ沖縄連合会が計画する商業施設「ハワイ沖縄プラザ」の建設工事が始まった。構想から10年余での着工である。沖縄文化の継承などを目指す「いく世までぃん(いつの世までも)」プロジェクトの前進をハワイの県系人と共に喜びたい。

 連合会は沖縄プラザのテナント収入をハワイ沖縄センターの維持管理費などに充てて、活動の充実強化を図る。
 移民90周年記念事業で1990年に開館した沖縄センターは、連合会の単なる活動拠点ではない。沖縄文化の継承・発信拠点、沖縄との交流拠点として大きな成果を挙げている。
 沖縄センターは建設から四半世紀がすぎ、修繕費などが連合会の負担になっている。連合会の財政を安定させ、活動をさらに活発化させる上で、沖縄プラザの建設は大きな意義がある。
 連合会が毎年、次世代リーダーの育成を目的に研修生を沖縄に送るスタディーツアーは30回を超えた。沖縄の文化や歴史などを学び、交流を深めた参加者が母県の良さを県系人社会に広め、沖縄との絆を強めている。沖縄プラザはこの活動を次世代につなぐ力になる。
 沖縄プラザは来年4月に完成する予定である。だが約5億円に上る建設費は、募金目標にはまだ届いていない。
 県内では建設募金推進本部が窓口となり、1億円を目標に企業や団体、個人に募金を呼び掛けている。多くの協力が寄せられているものの、募金額は約6千万円と目標を下回っている。さらに多くの県民の理解と協力を求めたい。
 私たちはハワイの県人から終戦直後に受けた多大な支援を思い起こす必要がある。ハワイの県人は自らの生活も厳しい中、種豚550頭を贈るなどして沖縄の復興救済活動に力を注いだ。そのことを忘れてはならない。
 沖縄もハワイ沖縄センター建設の際に「赤瓦一枚運動」を展開し、1千万円の目標の倍近い約1933万円の募金で協力した。
 お互いに助け合う「ゆいまーる」の精神を再び発揮する時である。募金は沖縄文化をハワイの県系4世、5世へと継承する活動などを支えることに役立つ。沖縄との絆をさらに強固にすることにもつながる。県民挙げて募金に取り組み目標を達成し、約70年前の恩に報いたい。