<社説>トランプ政権100日 在沖米軍見直すべきだ


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 トランプ米大統領が就任100日を迎えた。政策や成果を評価する最初の節目になる。

 内政面ではつまずきが目立つ。顕著なのはトランプ氏がテロ対策として署名した、中東などからの入国を一時的に禁止する大統領令だ。国内外から厳しい反発が起こり、裁判所は2度、大統領令を執行停止する決定を下した。
 選挙戦中から主張していた「メキシコ国境に壁を築く」という公約も、建設予算のめどが立たない。
 見直しを掲げたオバマ前大統領による医療保険制度改革「オバマケア」は、身内の共和党内すらまとめ切れず、代替案を取り下げざるを得なかった。
 政権にとって打撃は大きく、行き詰まりと言われても仕方がない。
 一方、外交面では公約からの転換も見られる。
 就任前は「米国は世界の警察官にはならない」と公言したが、シリアへのミサイル攻撃など国際紛争への不介入路線から反転した。
 対北朝鮮についても経済制裁や軍事的圧力を強化する一方、対話の用意があることも強調し、硬軟両様で揺さぶる。ただ、軍事行動の可能性に繰り返し言及しており、事態打開を急ぐあまり、性急な軍事行動に向かわないかを懸念する。
 沖縄から見ればトランプ氏は選挙戦で、在日米軍駐留経費の日本側負担増や在日米軍撤退の可能性に言及していた。これが在沖米軍の枠組みを変える契機になるのではないかという淡い期待もあった。県民の強い反対を押し切って名護市辺野古に新基地を建設することが、中長期的には在沖米軍基地存続の不安定要因と米側が受け取る可能性があるからだ。
 安倍晋三首相はトランプ氏当選10日後に訪米して関係構築に動き、米政権も日本政府の「辺野古唯一」を踏襲している。
 政府機関の中枢を占める政治任用職の8割がいまだ指名すらされていない中で、在日米軍の問題にまで手を着けられない事態にあることは分かる。
 しかし「日本の安保ただ乗り」論を訴えたトランプ氏は今後、米軍駐留経費の負担増を求めてくるだろう。日本側はいずれ、在日米軍の見直し要求に直面するはずだ。その際、沖縄社会の理解を得られない新基地建設の中止を含め、住民に負担の大きい在沖米軍の枠組みを見直すべきだ。