<社説>「白タク」横行 違法許さない環境整備を


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 急増する台湾人クルーズ客や中国人客への対応が追い付かず、禁止されている「白タク」行為が広がっている。

 国際観光都市を目指す沖縄県にとって由々しき事態だ。取り締まり強化と、多言語対応などサービスの拡充、バスなどの公共交通機関の整備強化は欠かせない。国や県、警察など関係機関が連携して、違法行為を許さない環境を整えてもらいたい。
 「白タク」行為とは、旅客自動車運送事業の許認可を受けず、車を使って有償で運送する手法で、県内の旅行会社が車と旅客を運送できる第2種運転免許を持たない運転手をセットで手配している。運転手は県内在住の中国出身者らで、客を中国語で案内している。
 背景の一つに急増するクルーズ客への多言語案内に追い付いていない実態がある。
 クルーズ客の滞在は約8時間と限られているので、タクシーの潜在需要は多い。しかし、第2種免許を持つタクシー運転手は、ほとんど日本語でしか対応できない。それがレンタカーを使った「白タク」横行につながっている。
 中国人客の場合、制度上日本国内で運転できない。個人旅行者は、自ら中国の運転手付き自動車配車サービスアプリを使って「白タク」を手配するという。このアプリで手配する運転手は第2種免許を持たない例が多く、レンタカーや自家用車を使用している。
 まず、こうした「白タク」行為の実態解明を進め、取り締まりを強化する必要がある。クルーズ客が利用する場合は、若狭バースで「白タク」を取り締まれる。だが、配車アプリを通して料金を運転手に払っている場合、摘発は容易ではない。
 外国語で対応できるガイド養成も急務だ。例えば、外国語が話せるタクシー運転手を採用して受け入れ態勢を充実させることも考えられる。
 国内客向けには、レンタカーの運転手をネットで紹介するサービスが始まっている。将来は訪日外国人も視野に入れているという。この場合、利用者がレンタカーを借り、運転手を選んで委託契約を結ぶため「白タク」行為には当たらないという。
 「白タク」利用が増えるのは、公共交通機関の整備が不十分だからだ。国際観光都市を目指すからには、便利な交通手段を整備し、提供しなければならない。