<社説>旧駐機場使用 合同委議事録を公開せよ


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 日米両政府の主張が食い違っている。一体どちらが正しいのか。

 米軍嘉手納基地の旧海軍駐機場の継続使用について、米空軍嘉手納基地第18航空団のポール・オルダム司令官は「2009年の日米合同委員会で運用の必要性に応じて使用することに同意している」と明らかにした。
 一方、防衛局は米側が主張する合意について「運用のため必要に応じ旧駐機場を使用するということを日米間で合意しているという事実はない」と否定。米側には「事実に反する内容を一方的に回答した」として抗議したと説明している。
 09年2月の「日米合同委員会合意事案概要」は、海軍駐機場の移転について「承認を得た」としているが、移転後の旧駐機場の使用については記載がない。
 この際、日本政府に合同委員会の議事録の全面公開を求める。そうすれば全て明らかになるはずだ。
 あるいは、米軍嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協)の首長らが主張するように、日米間で旧駐機場を使わないよう再確認すべきである。
 そもそも日米合同委員会には、基地を過重負担させられている沖縄の代表は参加しない。日米にとって沖縄を巡る秘密の話ができる便利な場所である。
 沖縄の施政権が日本に返還された1972年5月15日、日米合同委員会が開かれ、日本政府が引き続き沖縄の米軍基地を提供することを確認した。これらの取り決めを記した日米合同委員会合意議事録は「5・15メモ」と呼ばれ、秘密扱いとすることを日米が確認した。
 5・15メモで嘉手納飛行場の使用条件は、施設周辺水域が「常時使用される」ことなどを確認した。運用への「制限」を設けることはなかった。米国統治下と同様に自由使用が認められたのである。「日米安保、日米同盟が大変なことになる」との理由で政府は公開を拒み続け、97年になってようやく公開された。
 今回問題になっている旧海軍駐機場は、住宅地域への騒音被害軽減を目的に96年の日米特別行動委員会(SACO)最終報告で移転が決定した。新駐機場完成後に併用するという文言はない。
 しかし、今年1月に主要滑走路の反対側に移転が完了したものの、その後もKC135空中給油機、特殊任務機C146Aなど外来機による使用が相次いでいる。明らかにSACO合意違反だ。
 2国間の合意を無視する米軍に対して、稲田朋美防衛相は今回の使用を「例外的」として米軍の使用を全面的に認める考えを示した。旧駐機場の使用中止も求めていない。全く理解できない。
 騒音と、発がん性物質を含む可能性がある黒色粒子の発生源となる旧駐機場の運用は認められない。