<社説>海外識者の新声明 沖縄の民意に力強い支持


社会
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 名護市辺野古の海が土砂投入の危機にさらされる中、改めて世界の目を沖縄に向けるよう促したことを高く評価したい。

 2014年1月以来、3回にわたって沖縄の状況を世界に発信し、沖縄の軍事植民地状態を終わらせることを訴えてきた世界の著名人たちが、今度は沖縄県による埋め立て承認撤回への支持を世界に呼び掛ける声明を発表した。
 今回もノーム・チョムスキー、ジョン・ダワー、ダニエル・エルズバーグ、オリバー・ストーンの各氏らが名を連ねた。世界の知性と認められる人々が沖縄に深い関心を寄せ続けていることは心強い。
 辺野古新基地建設に反対する県民大多数の意思は選挙などで何度も示されてきた。しかし日米両政府は、この民意をないがしろにして工事を強行している。今回の声明は、沖縄の民意は孤立しておらず、世界の良識ある人々から注視され強く支持されているということを改めて示すものである。
 14年の最初の声明は、前年末の仲井真弘多知事による埋め立て承認を受けて、103人が新基地建設の中止と普天間飛行場の返還を訴えた。
 米国の独立宣言や公民権運動を沖縄に重ねたことは、新鮮な驚きだった。18世紀、英国の植民地支配による「権力の乱用や強奪」を糾弾したのが独立宣言である。また、自由と平等、人間の尊厳を求めた20世紀の公民権運動を挙げて、沖縄の粘り強い非暴力の運動、数万人規模で繰り返される県民大会などへの共感と支持を表明した。
 15年1月には、訪米を計画している翁長雄志知事に、承認の取り消しか撤回の意思表示をするよう15人の連名で求めた。同年8月には、県の第三者委員会が埋め立て手続きの瑕疵(かし)を指摘したことを受けて、74人が翁長知事に承認取り消しを訴えた。
 今回の声明は、これまでの署名者の多くを含む133人が署名している。「(14年)当時懸念していた状況は良くなるどころか悪化しているので、今再び私たちは声を上げる」として、その後進んでいる南西諸島での自衛隊基地の建設・拡張の中止も求めた。
 そして、沖縄の平和、人権、環境保護のための闘いと、翁長知事が表明し謝花喜一郎副知事が遂行した埋め立て承認撤回への支持を表明し、新基地建設中止を主張した。
 さらに、世界中の人々と政府に向けても「沖縄の島々を非軍事化し平和に生きるための沖縄の人々の闘いを支持することを求める」と呼び掛けた。
 同じ日に東京でも宮本憲一氏ら識者109人による新基地建設の白紙撤回を求める声明が発表された。今後賛同者が広がりそうだ。
 海外でも国内でも沖縄への基地集中政策に批判が強まっている。日米両政府はこの良識の声を受け止め、今こそ新基地建設を断念すべきだ。