<社説>地方選きょう投票 権利行使し自らの代表を


社会
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 2018年の県内統一地方選は9日、投票日を迎えた。25市町村の議員選挙で総定数356議席を立候補者425人が争う。地域の方向性を決める重要な選挙だ。当該市町村の有権者はぜひとも1票を投じてほしい。

 琉球新報の立候補予定者アンケートによると、最も取り組みたいことを「地域経済の活性化やまちづくり」と答えた人が約半数に上った。また「医療・保健・福祉」の分野では「保育所や児童館整備など子育て支援」が2割超で「教育・文化・スポーツ」の分野では「奨学金など人材育成支援」が3割を超えて最も多かった。
 地域振興に加え、子育てや教育に重点を置いたまちづくりに意欲を示す候補者が多いことが分かる。一方、離島では「医師や看護師の不足問題」を最重要課題に掲げる候補者が多い。離島医療の深刻な現状を映し出している。
 アンケートで候補者の6割以上が「改善すべきだ」と答えた違法なポスターやのぼりが今回の選挙でも各地で数多くみられた。クリーンな選挙を阻害する悪習慣は絶ち切るべきだ。
 米軍普天間飛行場移設に伴う辺野古新基地建設が進む名護市では、新基地建設の賛否を巡る与野党の獲得議席数が焦点だ。統一地方選は30日投開票の県知事選、宜野湾市長選の事実上の前哨戦としても位置付けられる。県内移設の是非など、米軍基地問題に対する姿勢も重要な争点となろう。
 誰に投票するかを選択する上で、候補者の政策を把握することは欠かせない。その基本情報を知るための経歴や政策などをまとめたものが選挙公報だ。今回の地方選で選挙公報を発行する自治体は、12市町村しかないことが琉球新報の調査で分かった。全体の半分に届かない。極めて残念だ。
 選挙公報は公職選挙法に基づいて各選挙管理委員会が公費で発行する。国政選挙や知事選挙は発行が義務付けられているが、市町村の首長と議員の選挙は任意となっている。このため自治体によって発行したり、しなかったりとばらつきが出ている。選挙公報は有権者に投票の判断材料を提供する重要な制度だ。全ての市町村で発行してほしい。
 選挙公報とは別に、住民が政策を知るための取り組みも見られた。粟国村では告示前、立候補予定者の政策を聞く説明会が初めて開かれた。
 住民約60人が参加し、公園整備や少子高齢化などの質問が相次いだ。多くの住民が政策を知る場を望んでいたことがうかがえる。こうした動きを歓迎したい。
 過疎地の高齢化、待機児童、子どもの貧困など、地域の課題は多岐にわたる。これらの問題を解決するためにも、有権者はその権利をしっかりと行使し、自らの代表を選んでほしい。