<社説>’19県内政局展望 針路選択する重要な年だ


社会
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 2019年は将来を見据えた沖縄の針路を選択する重要な年となる。

 県内最大の政治課題といえる基地問題が大きなヤマ場を迎えている。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け政府は先月、埋め立て土砂の投入を始めた。今年はその埋め立ての是非を問う県民投票が2月24日に実施される。移設先の名護市を含む衆院沖縄3区の補欠選挙は4月21日、参院選は夏に投開票される。
 いずれの選挙も辺野古新基地建設の是非が最大の争点となるのは間違いない。既成事実化を図り埋め立てを急ぐ政府と、阻止を狙う県は、国地方係争処理委員会で争っており、裁判闘争に発展する様相もにじませている。緊迫した局面に何度も直面する中、どのような打開策を打ち出せるか、政治家の手腕が試される。
 最初の大きな局面は県民投票だ。県内41市町村のうち、市長が実施しない方針を表明した2市を含む6市で実施されない可能性がある。6市には全県の35%に当たる約41万人の有権者がいる。県は説得しているが、実施されない市が出れば県民投票の結果をアピールする上で大きな痛手だ。
 投票結果だけでなく、全市町村での実施や投票率も大きな焦点となる。そのいかんでは玉城デニー知事の求心力や県政運営にも大きな影響を与えるだけに、知事にとって正念場といえる。
 その約2カ月後の衆院沖縄3区補選は、玉城知事が所属していた自由党により擁立されたジャーナリストの屋良朝博氏と、自民党が擁立した元沖縄北方担当相の島尻安伊子氏による事実上の一騎打ちになる見通しだ。
 玉城県政誕生後、初の国政選挙となり、県政の評価も問われる。夏の参院選の前哨戦でもある。屋良氏は玉城知事が強く推す一方、島尻氏は菅義偉官房長官らが後ろ盾だ。県と政府の代理戦の様相を帯びながら、県政与野党ががっぷり四つに組む構図で激しい選挙戦が繰り広げられるとみられる。
 その選挙結果は7月の参院選の情勢に直結する。参院選沖縄選挙区は現職で社大党前委員長の糸数慶子氏が出馬の構えを崩していないが、社大は高良鉄美琉球大教授の擁立を決めた。糸数氏側は反発しており、候補者を一本化する調整の行方は県政与党の結束をも占う。
 一方、野党自民党は2月10日の党大会までには候補者を決定する考えで、県知事選に出馬した佐喜真淳前宜野湾市長らの名前が挙がるとみられている。
 いずれの選挙でも辺野古の問題を解決する政策が問われる。有権者にとっては、沖縄の未来を左右する重要な判断の機会だ。今年は、沖縄振興計画が期限を迎える2021年度を見据えた経済振興の議論も本格化するだろう。候補者には、子どもの貧困問題など沖縄の課題を巡る活発な政策論争を期待したい。