<社説>参院選きょう投開票 一票の価値をかみしめて


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第25回参院選は21日投開票される。私たちの未来を左右する重要な選挙だ。各党や候補者が主張している内容をもう一度吟味し、大切な一票を投じたい。

 歴代最長の政権に近づく安倍晋三首相(自民党総裁)の政権運営に対して、有権者が中間評価を示す選挙となる。6年半を超えた政権のこれまでを有権者はどう評価するか。安倍政権下での憲法改正に前向きな「改憲勢力」が3分の2以上の議席を維持するかどうかも選挙の焦点だ。
 首相が意欲を示す憲法改正について自民党は、自衛隊明記などの4項目を公約に掲げた。2015年9月に集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法が成立したが、自衛隊が9条に明記されれば任務や権限はどうなるのか。国の在り方を考える上で極めて重要なテーマである。
 老後資金2千万円問題で不安が高まった公的年金制度も大きな争点となった。選挙戦で与党は持続可能性を強調し、野党は不安解消へ大幅な改革を主張した。保険料を支払う現役世代が減り、年金を受け取る高齢者が増える中、どう制度設計していくか。
 10月に消費税増税が控える中、政権の経済政策「アベノミクス」や雇用政策に関しても激しい論戦が展開された。与党が税収増などの実績を掲げて路線継続を主張したのに対し、野党は「暮らしは良くなっていない」と批判し家計支援に力点を置いた。
 外交に目を転ずれば、トランプ米大統領が不満を表明した日米安全保障体制の在り方を巡り与野党の立場が分かれた。だが過重な基地を負担する沖縄から見て、議論は全く不十分だ。泥沼化する日韓関係、緊迫するイラン情勢と米主導の有志連合構想の動き、北方領土問題や対北朝鮮、日中関係など、外交・安保面の課題は山積している。
 原発政策、人口減と外国人労働者、子育て・教育など他にも争点は多い。これら課題とも正面から向き合いたい。
 沖縄選挙区には4人が立候補した。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設の是非が改めて問われている。2月の県民投票で投票者の7割が埋め立てに反対したが、政府は工事を強行している。軟弱地盤の問題など工期や総工費が見通せない中、県民が再び審判を下す。
 21年度で沖縄振興特別措置法と現計画は期限が切れる。次をどう展望するか。観光がけん引し県内景気は拡大が続くが、好調な時期こそ経済の足腰を強化する好機だ。深刻な子どもの貧困問題や教育、医療・福祉の諸課題はどう改善し県民生活を向上させるか。しっかりと判断したい。
 投票率の長期低迷が続き、沖縄は平均を下回る傾向にある。民主主義を自らの手で守っていくためにも、その根幹をなす選挙の意味を再確認したい。一票の価値をかみしめて、大切な選挙権を行使し、私たちの代表者を選ぼう。