県議会逆転 重い負担に有権者「ノー」/国・県は民意を受け止めよ

 仲井真県政1期目の県議会勢力図がどう変わるか注目された第10回県議選は、8日の投開票で野党・中立系が過半数を制し、与野党逆転を果たした。県政運営に影響を与えるのは必至で、普天間飛行場の名護市辺野古移設を推進する政府も、再考を迫られる局面が浮上しよう。

 選挙結果は、過重負担が続く米軍基地問題や「低所得層ほど負担増」になることが判明した後期高齢者医療制度など、県民生活に深くかかわる国の施策や県の対応に有権者が明確に「ノー」を突き付けた格好だ。
 国と県は結果を重く受け止め、民意を十分に踏まえた形で政策転換を図ってもらいたい。

吹いた「変革」の風
 今県議選は定数48に対し、74人が立候補、激しい選挙戦を展開した。基地問題への対応や雇用・経済振興策、教育・福祉環境の整備など従来の争点に加え、後期高齢者医療制度の是非が与野党の大きな対立軸として浮上。暫定税率を復活させガソリンを再値上げした施策を含め、県政だけでなく、国政への評価も問う地方選挙として全国的にも注目された。
 開票の結果、野党・中立系が6人増の26議席と勢力を大幅に伸ばしたのに対し、与党系は5人減の22議席まで後退した。野党は社大が2議席に後退したが、社民、共産は各5議席を獲得、民主も4人全員当選と躍進したのが特徴で、有権者に「変革」を求める風が吹いたといえる。
 これに対し、与党は公明が現有3議席を守ったが、自民が4人減の16議席と減らし、与野党逆転を招いた。選挙戦で新しい基地建設計画や、社会的弱者に痛みを強いる施策について、十分に説明できなかったことが響いたのは間違いない。
 当選した県議に、まず注文したいのは「顔の見える」政治家になってほしいということである。劇場的なパフォーマンスの意味ではない。選挙戦で訴えた政策を議会活動の場でも繰り返し提起し、民意の反映に全力を挙げてもらいたいという思いだ。
 議員に対し「選挙の時しか顔を見ない」との皮肉を有権者から聞くことがあるが、当選後、議会での質問権も十分に行使しないことがまかり通るようでは、地方自治はおぼつかない。
 与党であっても、県政に対しては、是々非々で対応する姿勢が求められる。県側の提案を丸のみしていると、緊張感を欠くし、何より県民のためにならない。軸足はあくまで県民の側に置き、県民こそが主人公だと心したい。
 「ねじれ国会」を見ても分かるように、行政と議会の間には緊張感が求められる。省庁不祥事などが相次いで発覚しているのは、国会が機能してきた証しだろう。県議会もしかり。

難題解決へ結束も
 県議への2つ目の注文は、沖縄が抱える難題解決に向けての結束である。昨秋の教科書検定意見撤回を求める県民大会では、県議会議長が実行委員長を務め、文部科学省に対して「県民の怒り」をぶつけた。
 教科書検定問題が大きなうねりとなり、政府に方針転換を余儀なくさせた背景には、県議会が結束して行動したことがある。
 1995年の米兵による少女乱暴事件に抗議する県民総決起大会でも、超党派で前面に出て、県民を代表する機関としての役割を果たした。県議会一致の行動は、県民の総意であり、政府も軽視できまい。
 ところが今春、本島で米兵による女子中学生暴行事件が発生した際、結束が崩れた。抗議の県民大会への参加を仲井真知事が控え、自民も組織不参加を決めた。与党の公明が参加しただけに、残念であった。議会の結束が崩れると、政府に見くびられる恐れがある。
 県議会は、県民の代表者である議員が沖縄県の重要な事項について意思決定を行うという大きな役割を担っている。政府を揺り動かす気概で、地方議会の主体性と存在感を高めたい。
 投票率が57・82%と過去最低だったのは懸念材料だ。若者の選挙離れがいわれて久しいが、今回も歯止めがかからなかった。抜本策が急がれるが、当選した県議らが議会に新しい風を吹き込み、沖縄の未来を主体的に切り開く気概を示せば、おのずと政治への関心も高まろう。



琉球新報