グアム移転協定 あからさまな県民無視だ

 政府は「在沖米海兵隊のグアム移転に係る協定」(条約)を米政府と2月に締結する。米軍普天間飛行場移設を日米合意通りに推進することなどが目的である。

 県や名護市は、日米が合意した普天間飛行場の移設位置を沖合に移動するよう求め続けているが、移転協定はそれを一蹴(いっしゅう)するものである。
 県内移設への反対が根強い中、移設を受け入れた県などの意向さえも聞き入れない形の移転協定はいかがなものか。
日米合意を地元も受け入れるのは当然とのやり方は乱暴すぎる。
 移転協定前文には(1)グアム移転(2)普天間移設(3)嘉手納以南の基地返還―の3つが「パッケージ」として盛り込まれる。
 パッケージ論はすべてが日米合意通りに進まなければ、危険な普天間飛行場は現状のままにすることをあらためて強調するものである。県民への脅しとも言える内容の移転協定は容認できない。
 この間、歴代首相は在日米軍再編を進めるに当たっては「地元の声に耳を傾ける」ことを明言してきた。だが、政府関係者はパッケージ論を移転協定前文に盛り込むことについて「普天間移設を政府方針通りに進めるとの意思を表すことになる」としている。
 地元の声を聞くとする一方で、県などが求める沖合移動には一切応じない内容の移転協定を結ぶことは明らかに矛盾する。
 これまでも政府の本音は一貫して沖合移動は認めずだった。政府はこの際、地元が納得できる説明をすべきだ。
 普天間移設問題が停滞している状況で、日米合意通りの普天間移設の確実な実施を移転協定前文に盛り込むことは、政府への不信感を増幅させるだけである。
 日米合意は、最も影響を受ける沖縄側の頭越しになされた経緯もある。移設自体には大きな影響のない修正さえも聞き入れず、日米合意ありきで移転協定を締結することは、あからさまな県民無視である。
 衆院選で自民から民主への政権交代が現実味を帯びている。その前に移転協定を締結し、国会で成立させることで、新政権にたがをはめようとの意図も見える。
 県民の声を無視するだけにとどまらず、自民政権末期に駆け込みで移転協定を締結することは、多くの国民への背信行為と言わざるを得ない。