選挙制度 多様な意見の受け皿も必要

 8月30日に投開票された衆議院議員選挙は、民主党が308議席を獲得し圧勝した。自民党を軸に動いてきた日本の政治が大転換を迎える。
 「政権選択選挙」と位置付けられた今回の総選挙は有権者の関心を集めた。「歴史的転換期」を前に投票率も上がるであろうと思われたが、期待された割には意外に伸びなかった。県内の投票率は64・95%、全国は69・28%だった。

 「選挙に金が掛かり過ぎる」と中選挙区制から小選挙区制に移行した1996年以降では過去最高の投票率となったが、前回選挙に比して県内では2・6ポイント、全国では1・8ポイント上がったにすぎない。
 投票率が上がらなかった要因の一つとして現行の小選挙区制が挙げられる。各党とも候補者の擁立に苦慮している。大政党以外、多数の選挙区に候補者を立てにくい事情がある。
 それだけ、有権者の「選択肢」が奪われる結果になっている。
 選挙後、比較的若い世代の会員が多いインターネットのサイトで、会員を対象にしたアンケート調査が行われた。
 約24万人が回答し、「投票しなかった」有権者は25・3%を占めた。そのうち24・8%が「投票したい候補者・政党がない」と答えている。
 今回の選挙は「政権交代」を旗印にした民主と自民・公明両党との対決を中心に進められてきた。
 従来の自・公の政権運営に「ノー」を突き付けたい有権者は民主に投じるしかなく、各種世論調査で民主有利が示される中で、「勝敗は既についている」「投票しないのは精いっぱいの判断」とする無力感派や苦渋の判断をした有権者もいる。
 大政党間で争われる小選挙区制の選挙は「風」に左右される要素が少なくない。4年前の「郵政選挙」や今選挙が如実に物語っている。けれども「風」に押し流される選挙であってはならない。
 国民の価値観が多様化する中で小政党が担ってきた「少数意見」を、どう国政に届けるか。二大政党制の流れの中で、さまざまな意見の受け皿をどうするのか。
 例えば、現行制度でも選挙区と比例区の定数配分を比例区に厚くするだけで選択肢はより広がる。国民の声を吸い上げる多様な方策についても論議を重ねたい。