日中共同研究 継続し相互理解の深化を

 日中両国の有識者による歴史共同研究委員会の報告書が公表された。報告書は、日中の両論併記の形式で認識に隔たりもあるが、わだかまりとなってきた両国間の歴史認識について初めての報告書が公表されたことは評価したい。
 一方で公表が大幅に遅れ、中国の要求で戦後の現代史部分が非公表となったのは残念だ。両国の思惑や政治体制の違いを克服し、相互理解を深めることが重要である。

 日中の歴史共同研究は、2006年に安倍晋三首相(当時)と中国の胡錦濤国家主席が歴史認識で相互理解を深めることを目的に合意した。安倍氏の前任、小泉純一郎氏の靖国神社参拝をめぐり日中関係が悪化していた。
 琉球処分について、日本側は「琉球は日清両属の位置にあった。日本は着実に琉球の帰属へ既成事実を積み重ねた。抵抗はあったが支配層が中心で、民衆には良い方向への変化だった」としている。
 中国側は「琉球は中国の冊封体制下にあった独立国だが、日本は横取りした。琉球を併合した日本は朝鮮半島へ拡張行動をエスカレートさせた」とした。
 琉球の帰属について両国で認識が異なる。日本側の主張する「既成事実の積み重ね」に対し、琉球がどのように抗してきたか。1879年の処分官来琉による首里城での廃藩置県布達、首里城の明け渡しを命じたことなどもある。琉球士族の一部が清国に救援を求めている。この点を含め、さらなる研究の深化を求めたい。
 日中戦争で両国研究者は「侵略戦争」「中国の非戦闘員にも大きな犠牲を強いた」との基本的認識では一致した。日本が中国を侵略し、兵士や一般市民を殺傷したことを確認した。
 焦点だった南京大虐殺の犠牲者について、中国側は「南京軍事法廷の認定では30万人以上」と言及。一方で「日本側の研究では20万人を上限として4万人、2万人とさまざまな推計がなされている」として両国の見解は一致しなかった。
 数字の食い違いはあるが、「南京で大規模な虐殺があった」という共通認識に至った意義は大きい。
 双方は第2期の研究を行うことでも合意している。現代史も公表でき、禍根を残さぬよう歴史認識を深める研究を継続し、日中間の将来にとって真の友好的な関係づくりにつなげたい。