米掃海艦寄港 米軍の民港自由使用は問題

 米海軍の掃海艦が平良港への寄港を計画している。同港への米軍艦船寄港は施政権返還後初めてだ。
 人命や航海に支障を来すような緊急事態が発生したからではない。友好・親善のためだという。
 しかし、県や地元は寄港の自粛を求めている。奇妙な話だ。招かれてもいないのに、やって来る。

 民間港への米軍艦船の寄港は、施政権返還後、与那国島、石垣島に次いで3度目。2007年以降の3年間に集中している。民間港湾を自由使用したいという意図が見え隠れする。
 県は米軍に対し「民間港湾は民間船舶の運航施設として設置されたもので、緊急時以外は米軍の使用は自粛すべきだ」と伝えた。
 当然の話だが、それがかなわないのは日米地位協定第5条があるからだ。同条項によって、米艦船は通告するだけで入港料も払わず日本の港に入港することができる。
 不平等の源流は、1952年に発効した安保条約第3条に基づく日米行政協定にある。
 57年2月に東京の米大使館がまとめた「在日米軍基地に関する報告」によると、米軍は基地をめぐるさまざまな特権を持っていると記載している。
 この特権によって「地域の主権と利益を侵害する多数の補足取り決めが存在する」ことを明らかにしている。
 その上で米軍部隊は「地元当局への事前情報連絡さえなしに、日本への出入りを自由に行う権利が与えられている」と記している。
 この行政協定の骨格は、60年に改定した日米安保条約に基づく日米地位協定に引き継がれた。
 現在の地位協定第5条は、半世紀前の米国の表現を借りると、明らかに「地域の主権と利益を侵害」しているのである。
 中国の海軍力増強に伴って、米軍は宮古、八重山地域での監視活動を強化するとみられている。民間港への寄港はその一環とみられ、今後もこうした寄港の通告が続く可能性がある。
 繰り返すが、民間港湾は軍港ではない。民間船舶の施設として設置されたものだ。
 菅直人首相の内閣改造で、外相に就任した前原誠司氏は、地位協定改定問題に取り組むことになる。
 改定作業では、同協定第5条の見直しを求めたい。民間施設の使用は緊急時以外禁止し、入港の可否は自治体の首長など港湾管理者が決定できるようにすべきである。