思いやり予算 対等なら負担の構図見直せ

 来年3月に期限が切れる在日米軍駐留経費の日本側負担(思いやり予算)について、米側が増額を要求している。
 日本側は厳しい財政事情を理由に減額の意向だが、米側は「日本は米軍駐留により国内総生産(GDP)の1%の防衛費で安全を確保できている」と予算の削減をけん制、3%程度までの増額を求めている。
 「抑止力提供の当然の対価」というのが米側の認識だ。しかし、これは客観的にみて合理性を欠く。

 在日米軍兵士と家族の光熱費だけでなく、ゴルフ場をはじめ映画館、プールなどの娯楽施設の建設まで日本側が負担することが、果たして「当然の対価」と言えるのだろうか。
 この予算の源流は、沖縄返還協定に盛り込まれた秘密の財政取り決めにある。
 1978年度から在日米軍に「思いやりを持って対処する」(当時の金丸信防衛庁長官)として、基地労働者の福利費などを負担する「思いやり予算」となった。
 87年度以降は特別協定を結び、日米地位協定上は米側が支払うべき基地労働者の給与や光熱水費、訓練移転費も負担する。
 地位協定上の根拠もなく、説明のつかない資金を日本側から米側に32年間提供し続けてきた。総額は約5兆円に及ぶともいわれる。
 米軍を受け入れる国によって支払われる米軍海外駐留費の割合(2002年)をみると、日本は75%と同盟国の中でトップ。付けは納税者が払わされてきた。
 米シンクタンクの上級研究員で米民主党系の人脈を持つマイケル・オハンロン氏は、思いやり予算によって「配備の費用対効果が極めて高いことが、沖縄への海兵隊展開の利点」(「フォーリン・アフェアーズ」)と指摘する。
 米ジョンズ・ホプキンス大東アジア研究所長のケント・カルダー氏は、在日米軍に対する資金提供は「最大の貢献」と指摘する。
 軍事戦略的な合理性からではなく、居心地がいいから駐留しているのである。
 民主党は野党時代に思いやり予算の在り方を追及してきた。政権交代した今、菅直人内閣は、米国の主張に沿って資金を日本側が負担する構図を改めるべきだ。
 合理性を欠く要求に対しては是正を求め、時には拒絶する。これこそ対等な日米関係といえる。