名護市議会決議/「国外・県外」の民意一層強固に 日米合意は撤回の時だ

 名護市議会は、米軍普天間飛行場の移設先を同市辺野古と明記した日米共同声明の白紙撤回を求める意見書・決議を与党などの賛成多数で可決した。
 同市議会が県内移設に反対する意見書・決議を可決したのは初めてのことだ。与党に加え、野党の一部も賛成に回った。

 県民はこれまで、あらゆる手段で県内移設反対という民意を示してきた。移設先とされる地域の住民代表が行った今回の意思表明の意味は重く、沖縄の民意を一層強固に示したものだ。
 政府は沖縄の民意の重みをしっかり受け止め、日米共同声明を撤回すべきだ。

■ぶれない名護市民、県民
 普天間代替施設の移設問題を最大の争点にした今年1月の名護市長選は、移設推進を掲げる当時の島袋吉和市長と、「海にも陸にも基地を造らせない」を公約にした新人の稲嶺進氏が対決した。
 結果は移設に反対し、基地依存型経済からの脱却を訴えた稲嶺氏が新市長に当選した。続く9月の同市議選では、その稲嶺市長を支持する与党が圧勝した。いずれも名護市民が移設反対の意思を明確に示したものだった。
 名護市以外でも民意を内外に示す行動があった。4月25日に読谷村で開かれた「普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し、国外・県外に移設を求める県民大会」には、10万人近い県民が参加した。
 超党派で行われた大会には、仲井真弘多知事も出席し、日米安保体制の下で沖縄が置かれている過重な基地負担の実態を訴え、負担軽減に向けた議論を深めるよう全国に呼び掛けた。
 また、5月末に琉球新報社と毎日新聞社が実施した県民世論調査でも「辺野古移設に反対」は84%と圧倒的だった。
 自公政権時代には条件付きで県内移設を容認する立場を取っていた仲井真知事の姿勢も変化している。名護市長選以降、知事は「受け入れは極めて厳しい」と述べるようになり、日米合意後には「地元の了解を経ずに決定されたことは誠に遺憾」「県内移設は不可能に近い。拒否の選択肢もある」とも語っていた。
 その後しばらくは「県外移設を断念した経緯について首相、政府から十分な説明を受けた上で判断する」などと、踏み込んだ考えを示さなかったものの、県議会9月定例会では日米合意を見直し、県外移設を政府に求めていくことを初めて表明している。
 沖縄の民意はぶれるどころか、時間の経過とともにさらに強固になっている。
 新たな基地を県内に受け入れる余地はどこにもない。日米合意の実行は不可能だ。

■民主主義の基本に返れ
 この間の政府は民意を無視し、民主主義を否定するような対応に終始している。
 「最低でも県外」を公約にしていた鳩山由紀夫前首相はぶれにぶれて迷走した揚げ句、これを破棄した。5月28日に普天間飛行場移設先を名護市のキャンプ・シュワブ辺野古崎地区・隣接する水域とする日米共同声明に合意、その後に辞任する無責任な行動を取った。
 政権を引き継いだ菅直人首相もまた、日米合意を何ら迷うことなく踏襲し、移設推進の姿勢を鮮明にしている。
 菅首相は国会で、「慰霊の日」を思い出せず「戦争被害の平和の日」と述べた。沖縄に対するあまりの思いの軽さに、多くの県民はがくぜんとさせられた。にもかかわらず「基地負担の軽減につながる提案が何らかの形ででき、それを持って訪れることができれば」と語り、負担軽減という「土産」がまとまった段階で再来県したいとの意向を示した。
 日米合意は沖縄へのさらなる基地負担の押し付けであることは明らかだ。それは県民への差別的政策にほかならない。基地の押し付けを「土産」で何とかごまかそうとする姿勢にはあきれてしまう。
 日米合意について、名護市議会の意見書・決議は「民主主義を踏みにじる暴挙」「県民を愚弄(ぐろう)するものとして到底許されるものではない」と厳しく断じている。
 民意の尊重は政治の基本である。菅首相、政府は基本に立ち返り、沖縄の民意を真正面から受け止め、米国との再交渉に挑んでほしい。