生物多様性会議 歩み寄り実効性ある合意を

 地球に生息する生物の命を守り、持続的に利用していくことを目指した生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10)が18日から名古屋市で始まる。
 地球上には約175万種、未知のものも含めると推定1千万~1億種もの生物がいるとされる。その生物がバランスを保ちながら生態系を維持し、人間もその恩恵を受けている。しかし、乱獲や開発による自然破壊などで、世界規模の多様性損失が進み、自然の100倍から千倍の速度で種が絶滅しているとされる。

 人類が環境に与える影響は大きくなり地球の許容量を超えるほどになった今、生物多様性の保全を国際的にどう進めていくかを決める重要な会議だ。先進国と途上国の対立など課題は多いが、それを乗り越え実効性のある合意にこぎ着けることが必要だ。日本は議長国として大きな責任がある。
 1993年に発効した生物多様性条約は、生物多様性の保全、持続的な利用、利益の公平な配分の実現の三つが主要な目標だ。COP10での重要な議題は、生物を基に医薬品や化学物質などを開発することで得られた利益を、生物の原産国と製品の開発国とで公平に分配するための協定に関する議論だ。ガイドラインにすぎない協定を法的拘束力のある議定書にすることを目指している。
 例えば、マラリア薬となるキニーネ、がんの治療に用いられるタキソールなど天然成分由来の医薬品は多い。それら原料の多くは発展途上国に多く残されている。それを利用して先進国の企業が大きな利益を上げているのに、それが原産国に還元されていないという不満がある。
 2010年4月現在、条約の加盟国は193カ国だが、最大の生物資源利用国である米国が批准していない。先進国から途上国への技術移転や利益の分配は「生物工学の進展を遅らせアイデアの保護を阻害する」というのが理由だ。
 しかし、地球温暖化問題と同じく、生物多様性保全は、新たなビジネスチャンスでもある。生態系に配慮した製品の認証ビジネスやエコツーリズム、生態系修復や外来種除去ビジネスなどはすでに動きだしている。COP10で、実効力のある合意を引き出し、世界的な潮流にすることは、米国の批准を促すほか、日本国内での取り組みを進めることにもなるだろう。