知事選政策 公約はお題目ではない 問われる指導者の実行力

 11月28日に投開票される第11回県知事選は、事実上の一騎打ちを繰り広げる現職の仲井真弘多氏と新人の前宜野湾市長・伊波洋一氏が相次いで政策を発表した。
 仲井真氏は、全国最低の県民所得を10~15年後に全国中位に引き上げることを目標とした産業の振興や観光客1千万人の達成、完全失業率の全国平均並みへの改善などを前面に掲げている。
 伊波氏は、生活密着・自然再生型の公共工事などで産業振興と雇用創出を図る「沖縄版ニューディール政策」の推進、基地のない沖縄に向けたアクションプログラム策定などを打ち出している。
 魅力的な政策が並ぶが、公約はお題目ではない。誰が知事になるにせよ、問われるのは実行力だ。

■基地が主要争点に
 米軍普天間飛行場の移設など基地問題に対する態度は、自民党県連、公明が推薦する仲井真氏と社民、共産、社大が推薦する伊波氏の間で違いがある。
 仲井真氏は、一日も早い普天間飛行場の危険性除去を実現すると表明。辺野古移設を盛り込んだ日米共同声明の見直し、県外移設の実現を強く求めると強調した。
 伊波氏は、普天間飛行場の県内移設に反対し、閉鎖・返還を求めて直ちに行動を起こし、普天間問題を決着させると強調。県内移設を認めない考えを鮮明にした。
 仲井真氏は「政府から十分な説明がない以上、もはや沖縄に移すべき場所が事実上ない。沖縄が日米安保の過剰な基地負担をしている以上、国民全体でこの行き先をしっかり探してもらいたい」と主張した。県内移設を一切認めないのか―との問いには「イエス・ノーや白か黒で答えられる問題ではない」と答えている。
 伊波氏は普天間飛行場の閉鎖・返還時期に関し「必ず2013年中にヘリも含めた部隊のグアム移転を実現すべきだ」と主張した。仲井真氏とどう政策を差別化するのか―との問いには「私は普天間基地の県内移設にずっと反対し、日米両政府も承知している。私が当選すれば辺野古移設はなくなる」と答えている。
 日米共同声明を容認しないスタンスは共通するものの、普天間飛行場の県内移設の余地を残すかどうかでは見解が分かれる。基地問題が主要な争点になるのは間違いない。
 嘉手納飛行場の騒音軽減、基地従業員の雇用問題、基地から派生する環境問題の解決、日米地位協定の改定要求などは仲井真、伊波両氏とも積極的に取り組む考えだ。
 仲井真、伊波両氏のほか、幸福実現党の金城竜郎氏も立候補する意向だ。同氏は日米合意に基づく普天間飛行場の辺野古移転による早期の危険性除去を掲げている。
 有権者は、公約を細かく吟味し、姿勢の違いを十分に見極めた上で判断してほしい。

■雇用の確保は急務
 9月の県内完全失業率(原数値)は8・0%で、相変わらず全国で最悪の水準。雇用の場の確保は待ったなしの課題だ。
 仲井真氏は「沖縄雇用対策基金」の創設を打ち出すとともに、環境・エネルギー関連ビジネスや医療・介護ビジネスなどの企業誘致の推進を訴える。
 伊波氏はすべての世代の生活相談と就労支援を一手に担う「パーソナルサポートセンター」の設置や多重債務者生活再建プロジェクトの推進を訴える。
 観光振興については、仲井真氏が「観光客1000万人、外国人観光客100万人を目指す。付加価値の高い観光産業の育成などによって国際観光都市を目指す」、伊波氏が「カジノによらない新しい沖縄型観光を目指す。東アジアからの誘客を担う人材を支援、国際リゾートとしての環境を整備する」と、それぞれ公約した。
 離島政策としては、仲井真氏が「離島定住条件の整備を図り、人口の増加および雇用を拡大する。離島・過疎地域の医師確保を推進し医療の充実を図る」、伊波氏が「離島航空運賃引き下げのための割引運賃制度、空港着陸料低減を推進する。離島の県立病院、診療所の医師を確保する」などと、それぞれ政策に掲げた。
 このほか、産業振興、医療・福祉、環境保全、人材育成、ポスト振計、文化振興など県政の課題は山積している。事実上の一騎打ちとなる仲井真、伊波両氏は、なお一層政策論争の深化に努め、有権者に信を問うべきだ。