米軍機アセス 二重基準なくし生活守れ

 同じ米海兵隊の航空基地でありながら、周辺住民の生活への配慮という点で米本国と沖縄ではあまりにも大きな格差がある。それがあらためて浮き彫りになった。
 2014年に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが配備される予定の米ハワイのカネオヘベイ航空基地で、環境影響評価(アセス)が進められている。一方、日本政府は、名護市辺野古沿岸に計画する普天間飛行場の代替基地をめぐり、騒音区域が広がる可能性が濃厚なオスプレイ配備計画が公然化しているにもかかわらず、アセスやり直しを否定している。

 基地周辺に住む生身の人間の生活環境に及ぼす軍用機運用の影響に国境はないはずだ。こうした二重基準は県民軽視に映り、米軍基地に対する目線をとげとげしくする。日米両政府は軍事基地運用の最低限の務めとして、米国と同列なアセスを実施すべきだ。
 オスプレイは開発期に墜落事故が相次ぎ、多くの米兵が犠牲になった。「未亡人製造器」の異名を取り、危険な機種との指摘が付きまとう。ハワイで8月に5回にわたって開かれた住民からの意見聴取で、騒音や危険性、環境汚染に関する質問が集中したのもうなずける。
 半島状の地形にあるカネオヘベイ基地は周辺の市街地と距離がある。騒音が届きにくい基地であっても、国家環境政策法で義務付けられ、米政府は本国の基地の新たな機種配備に応じたアセスを実施し、生活保全に意を尽くしている。
 同じ機種でありながら、12年10月に配備が計画されている現普天間飛行場で、オスプレイ配備をにらんだ機種更新に伴うアセスを実施する動きもない。
 環境問題の高まりを受け、世界中の基地の運用をめぐり、環境原則が注目されている。ドイツでは1993年にボン補足協定が締結され、駐留米軍に対しても、あらゆる計画が環境に与える影響についてアセスを行い、環境への有害性が避けられない場合には適切な措置を取るように義務付けた。住民生活と自然環境の保全を優先し、米軍の基地運用に縛りをかけているのだ。
 沖縄では未明の戦闘機の離陸さえ止めることができず、周辺住民の安眠が突き破られる異常事態が続く。軍事でなく、住民や環境を優先した基地運用は世界の基準になりつつある。沖縄だけ蚊帳の外に置かれることは許されない。