仲井真氏再選/「県外移設」公約の実現を 問われる対政府交渉力

 天王山となった28日の県知事選挙は、現職の仲井真弘多氏が再選された。
 最大の争点「米軍普天間返還・移設問題」では、再選された仲井真氏も今回は「県外移設」を公約に掲げ、県民の再選支持を受けた。
 仲井真氏には「普天間基地を事実上閉鎖状態に」との4年前の公約も含め、今後はぶれることなく、しっかりと「県外移設」を政府に求め、公約を実現してほしい。

訴求力と魅力不足
 今知事選は最後までもつれ、投票率は低迷した。知事選のもつれは有権者の「不安と戸惑い」を、低投票率は県民に横たわる根深い政治不信と無力感、そして知事候補者らの訴求力と魅力不足を浮き彫りにした。
 普天間問題で対立候補の前宜野湾市長・伊波洋一氏、仲井真氏ともに「県外」「国外」移設と一見同じにみえた。
 だが、伊波氏が国外移設とともに「県内移設反対」を明確にしたのに対し、仲井真氏は「条件付き県内容認」から知事選直前に「県外移設」に転じるも最後まで「県内反対」明言を回避した。
 このため政府との交渉カードに「辺野古案」を残すかのような印象を与え、県外移設を求める有権者の支持決定に不安とためらい、戸惑いを与え、混迷を招いた。
 投票分析では、「県外移設」に軸足を置くも経済振興に重きを置く県民は仲井真氏に、「県内移設反対」に重きを置く県民は伊波氏に票を投じている。
 そもそも普天間問題は、昨年8月の総選挙で「最低でも県外移設」を公約した民主党が政権を掌握し、県内では県内移設を進めてきた自公議員が衆院で全滅する「戦後沖縄政治のパラダイムシフト」まで起きた。
 その上、ことし1月の名護市長選では県内移設反対を掲げる新人・稲嶺進氏を民主党が推し、県内・辺野古移設を認める現職を破った段階で終止符を打ったはずだった。
 ところが民主党の罪の深さは、反対派市長を推しながら、「最低でも県外」との公約を簡単にほごにし、民意を裏切る「県内移設」に回帰し、事もあろうか辺野古移設の日米合意までしたことだ。
 無責任な民主党政権が残した「政権交代の残滓(ざんし)」が、沖縄に累々と積み上がり、県民に根深い政治不信と閉塞(へいそく)感をもたらした。
 今回の県知事選挙は、全国からも注目された。日米安保の根幹を揺るがす「普天間問題」が争点になったからだ。
 一方で、今知事選の特徴は、政権政党の民主党が独自候補はおろか推薦候補すら出せず、参院選に次いで沖縄での2度目の「不戦敗」を選択したことだ。
 加えて、最大野党の自民党も自公候補の仲井真氏の本部推薦を見送り、「県連」推薦とし責任を回避した点にある。

政権の無責任ぶり露呈
 前・現両政権党が「沖縄」から逃げる。そんな日本の政治、政権政党の無責任ぶりも露呈した。
 沖縄問題から逃げる与野党両最大政党に日米安保の要を担う米軍基地問題の解決やその先の日米関係の再構築など望むべくもない。
 その厳しい現実の中で迎えた県知事選である。「民主党政権が変わらない限り、知事の力では政治は変えられない」。そんな言葉を選挙戦の中で幾度も耳にした。
 民主党が残した深い裏切りの傷、その後遺症となる政治不信と閉塞感が県民を包み、低投票率を生んでいる。
 一方で、知事選を通して今の日本が抱える厳しくつらい現実も浮き彫りになった。乳幼児の保育所不足は改善されず、若者は職に就けず、年寄りは年金を奪われる。
 弱き者はくじかれ、強き者がのさばる。そんな日本の政治の貧困ぶりが、その縮図となる沖縄からはよく見える。
 「基地よりまず景気回復を」との切実な声が、経済界の支援を受ける仲井真氏の追い風となった。
 再選された仲井真氏の二つの大きな課題は、普天間問題と国内最悪の高失業・低所得問題の解決だ。いずれも、4年前の知事選で公約にしながら積み残してきた懸案である。
 今後は解決に向け、政府との交渉に挑まねばならない。仲井真氏にはぶれ続ける民主政権を見習うことなく、県民世論を追い風に、掲げた県外移設と経済自立の公約を、確実に実現してもらいたい。