民主公約見直し 撤回なら議席を返上せよ

 民主党が野党時代の2008年にまとめた「沖縄ビジョン」を改定する方針を固めた。米軍普天間飛行場について「県外移転を模索」し、「国外移転を目指す」としていた公約を改めることに主眼があるのは明らかだ。

 この政権の変節ぶりを形容する言葉はもはやない。ただ、沖縄ビジョンを掲げて09年衆院選に当選し、議席を得た事実を忘れてはならない。
 公約は有権者と政治家との約束だ。有権者は白紙委任したわけではなく、政治家が後で一方的にほごにしていいはずはない。公約を撤回するなら、民主党の県選出衆院議員は議席を返上するのが筋だ。それがいやなら、少なくとも民主党を離党すべきだ。
 「沖縄ビジョン」は02年に初めて策定された。その時点では「在沖米軍の大幅縮小」と総論を述べる程度だったが、05年版では既に「県外移転模索、国外を目指す」方針を明記していた。過去5年間、有権者には県外・国外移設を約束していたことになる。
 08年版ではさらに、米軍人・軍属犯罪容疑者の起訴前身柄引き渡し、地位協定の早期改定も掲げた。だが、政権獲得から1年余が過ぎたのに、何一つ進展がない。党内でこれらを検討・議論した形跡すら見えない。
 民主党は何一つ前進させていない怠慢をまずわびるべきだ。その上で、公約を一つ一つ実現するのが筋であろう。その努力を何らすることなく、当選したら公約を変更すればいいという姿勢は、人としての最低限の信義にもとる。
 過去、県内移設を押し付けてきた自民党ですら、党内には沖縄振興委員会があった。だが民主党には沖縄政策を議論する常設の機関がない。
 政策調査会の「外交安全保障調査会」内にプロジェクトチームを設けて議論する見通しだが、いかにも付け焼き刃に思える。
 沖縄に関する知識が乏しく、基地問題の諸相もろくに知らない人々が、沖縄の将来を大きく左右する政策を決定することは、あまりに理不尽だ。
 ともに県外・国外移設を掲げる候補者が争った知事選で、民主党は候補者の擁立すらできなかった。その直後、県外移設の公約を撤回するのなら、沖縄の民意など聞く必要がないと公言するのも同然だ。それなら「地域主権」を掲げる資格もないと知るべきだ。