米パワハラ裁判 沖縄は植民地ではない

 米軍基地内で米国人上司から「パワーハラスメントを受け、不当解雇された」との元在沖米軍基地従業員の訴えが、二審の福岡高裁判決でも認められた。
 判決は雇い主の国に対し「解雇無効」と解雇期間中の給与の支払い、「復職」も事実上命じている。

 不当解雇の判決が出た以上、国は速やかに解雇を取り消し、給与を支払い、復職させるべきだ。
 争われた内容は、在沖米軍基地で働く従業員らが不安定で不合理な労働環境にあることを露呈させた。
 裁判所が「危険を感じさせるものではない」「制裁解雇の理由が認められない」と判断する言動でも、基地内では「軍紀の維持のかく乱を含む安全上の理由」と見なされ、安易に解雇される。
 「絶大な権力者ともの言えぬ被支配者」の関係が、裁判で浮き彫りになった。基地従業員からは「事件は氷山の一角。事件の多くが闇から闇に葬り去られている」との声も出ている。
 「支配者と隷下の関係」と呼ぶ基地従業員もいる。「労働者の権利は、米軍基地内には存在しない」と嘆く声も、今回の裁判を契機にようやく基地外に漏れ出てきた。
 国民を雇い米軍に基地従業員として提供している国は、雇用主として従業員の権利と人権を守る義務と責任がある。パワハラ、セクハラなど基地内で不当行為が横行していないか。この際、徹底的な実態調査を求めたい。
 裁判は県民に対する新たな米軍基地被害の存在を示すものだ。県も独自の調査を行う必要がある。
 パワハラ裁判と今回の判決は、法治国家としての日本の主権と司法権の実効性を問うている。
 結論を言えば、沖縄は米国の植民地でも、米軍の被占領地でもない。主権国家・日本の一県である。
 国は国民である基地従業員を日本国憲法と法の下で平等に扱い、権利と人権を保障すべきである。
 不当解雇と復職を求める判決の履行を政府が自ら拒み、放置するなら、もはやこの国は法治国家とはいえない。
 「履行」とは、たとえそれが米国相手であっても判決を順守・履行させ、判決の行使を遮る不適切な諸機関労務協約があれば速やかに改定、除去することも意味する。
 「奴隷的苦役」を訴える基地従業員からの内部告発もある。基地内の労働協約の恣意(しい)的な運用、乱用の調査と監督策も必要だ。