前原外相来県 何のかんばせあって沖縄に

 前原誠司外相が21日に沖縄入りし仲井真弘多知事と会談、米軍普天間飛行場の県外移設を実現できなかったとして、この間の対応をわびた上で、辺野古移設を盛り込んだ日米合意に理解を求めた。
 県民の大多数は県外・国外移設、もしくは無条件返還を求めており、仲井真知事も「日米共同声明を見直し、県外移設を求める」と知事選で公約した。「辺野古がベター」と強弁する菅直人首相に、県内は無理と伝えたばかりだ。誰が何度来たところで答えが変わるはずもない。

 1961年6月、琉球政府立法院議員だった平良幸市氏(後の県知事)は、米軍施政下の理不尽な状況を踏まえ、沖縄訪問国会議員団に対し「何のかんばせ(顔)あって(沖縄住民に)相まみえんや、というお気持ちから、(議員団は)恐らくおいでになるまいという声もあった」「靴で足を踏まれながら握手を求められても素直に受け取れない」と不満を示した。
 およそ半世紀たった今も沖縄の置かれた立場はほとんど変わっていない。菅首相、前原外相にも同じ言葉が当てはまろう。
 民主党は「最低でも県外」という前代表の公約を一方的に破棄し「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」とする2009年衆院選の政権公約(マニフェスト)もほごにした。首相や外相がいくら甘言を弄(ろう)したところで、信用する人がどれだけいるのか。
 09年衆院選、10年参院選の政権公約は「日米地位協定改定の提起」も掲げたが、いまだに日本政府が米国に協定の見直しを申し入れた形跡はない。
 それどころか、岡田克也幹事長は外相在任中の今年8月、普天間飛行場の移設のめどがつかない段階では地位協定の改定を求める対米交渉に入れないとの考えを示している。
 マニフェストは政権政党が責任をもって実行する政策であるはずだが、現実には「絵に描いたもち」以下だ。
 基地問題の解決に期待して民主党に1票を投じた有権者から見れば、詐欺に遭ったに等しい。
 前原外相に望むのはただ一つ。約束を守ることだ。
 沖縄で時間をつぶしている暇はない。直ちに訪米し、不平等な日米地位協定の見直しはもちろん、普天間飛行場の県外・国外移設を強く求めてほしい。