沖縄関係予算/「特別配慮」は虚構だ 真の自主性獲得を目指せ

 政府の沖縄関係予算を見る時には注意が要る。特に「政治的配慮」を必要以上に振りかざす時は危険だ。そこに「すり替え」が潜む例が多いからだ。
 2011年度予算もその例に漏れない。「沖縄への特別な配慮」という形容は虚構と言えよう。これで「政治判断」を強調するのは、おためごかしにすぎない。

 まず、内閣府沖縄担当部局の当初予算案が前年度を0・1%(3億円)上回ったことについて、「(沖縄への)誠意」(末松義規内閣府沖縄担当副大臣)と強調している点に疑問が募る。
 そもそも政府全体の一般会計総額も沖縄予算と同じ10年度比0・1%増だ。単に全国と歩調を合わせたにすぎないとも言えよう。

「首相主導」の演出
 確かに、例えば北海道開発事業費は前年度比8%減だったから、沖縄は異例の厚遇のように見える。だが北海道は、これと別に一括交付金の配分があり、整備新幹線関連予算もある。沖縄の場合、一括交付金も含めた額であり、単純比較はできない。
 しかも、防衛省の沖縄関係予算は115億円も減った。内閣府分で3億円増えていても、合計すると112億円(2・7%)の減だ。これで「特別な配慮」と言うには無理がある。
 今回、民主党政権は沖縄担当部局の予算編成について異例ぶりを強調した。菅直人首相が「前年度より減額しては駄目だ」などと指示して10年ぶりの増額となったことも、首相が一括交付金の「沖縄別枠化」を指示したことも盛んに報じられた。「首相の肝いり」を演出していたのは明らかだ。
 その一括交付金(沖縄振興自主戦略交付金=仮称)は全国分5120億円のうち沖縄分は先行して配分を決めた。その額は321億円と全国の6%余を占める。
 数字だけを見ると異例の高い配分のようだが、沖縄担当部局の一括計上分に含まれ、かつ、その一括計上は前年度とほぼ横ばいなのだから、従来の補助金の一部を「看板替え」したにすぎないと言える。
 県が要求する「沖縄振興一括交付金」は、沖縄担当部局の一括計上分をそのままスライドさせたもので、3千億円規模になる。だが今回、政府が示した一括交付金は、額にしてその9分の1以下にとどまった。
 補助金行政を維持したい各省庁の抵抗を突破できなかった格好だ。首相の指導力が発揮されたとは到底言い難い。
 沖縄開発庁予算はピーク時の1998年度で4713億円だった。11年度の沖縄担当部局予算はその半分にも満たない。これで「首相の肝いり」と称するのは、演出過剰と言うほかない。

頻繁なすり替え
 そもそも沖縄関係予算は、この種の「すり替え」が頻繁に起きている。例えば沖縄科学技術大学院大学は、提唱当時には沖縄振興とともに日本全体の科学技術振興に役立てるという趣旨だった。
 そのため内閣府は文部科学省の予算計上も想定していた。03年には細田博之沖縄担当相(当時)が「従来の沖縄予算を減らしてつけるのではなく、国(政府全体)で財政措置をする考えで取り組みたい」と述べたこともある。
 ところが文科省の拒絶に遭い、結局、沖縄関係予算の中に完全に埋没した。沖縄関係の他の事業費を削って捻出(ねんしゅつ)しているのだ。
 特別調整費(沖縄特別振興対策調整費)や北部振興事業も同様だ。名目上、それらを維持するために、他の沖縄関係予算を国全体の予算削減率以上に大幅に削ることで何とか取り繕ってきた。
 つまり、「特別」に計上しているというのは見せ掛けだけで、決して「上乗せ」されてきたわけではない。古代中国の朝三暮四の逸話に等しい、一種の「詐術」にすぎない。
 全国には、政府が沖縄に特別な予算措置を講じているというイメージが流布しているが、いかに実態と懸け離れているか、知らしめる必要がある。政府は今回の予算を普天間飛行場県内移設の地ならしと位置付けているようだが、何をか言わんやだ。
 政府の「特別」な予算措置による振興策の効果が低い理由もうなずける。県は今回の予算措置に惑わされることなく、「沖縄振興一括交付金」構想を維持し、真の自主性獲得を目指してもらいたい。