2010年回顧/喜びと怒り味わった年 うそのない政治へ変革を

 2010年もいよいよ大みそか。興南高校野球部の甲子園春夏連覇で喜びに沸いた一方で、民主党政権が米軍普天間飛行場の移設先を県内に回帰させ、県民の怒りを買った。歓喜と憤怒(ふんぬ)の両方を味わわされた年だった。
 民主党は09年の衆院選の際に掲げたマニフェスト(政権公約)を次々とほごにし国民の政治不信を増幅させた。「官僚丸投げの政治から、政権党が責任を持つ政治家主導の政治へ」などと大見えを切ったものの、いまや「丸投げ」どころか、官僚に「丸のみ」されてしまった感がある。
 政権を担う為政者は「正直は一生の宝」ということわざを肝に銘じ、うそ偽りのない政治を実行してほしい。

「欺」に終始した政権
 日本漢字能力検定協会が発表した、今年の世相を1文字で表す漢字は「暑」だった。沖縄の立場からはひとくくりに言い表せない。
 国内政治なら「欺」という文字で表現できる。昨年の衆院選直前、民主党代表だった鳩山由紀夫氏は「(普天間飛行場は)最低でも県外移設が期待される」と言明した。ところが首相に就任すると、その主張はどんどん尻すぼみになる。
 4月25日に読谷村で「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と、県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」が9万人(主催者発表)を集めて開かれたにもかかわらず、5月には「普天間の代替地はやはり県内、より具体的には辺野古の付近にお願いせざるを得ない」と姿勢を転換した。結果的には自公政権と大差ない。
 しかも理由に挙げたのが根拠に乏しい「抑止力」だ。普天間飛行場には十数機の固定翼機と三十数機のヘリが常駐しているとされるが、訓練などでたびたび国外に派遣されており、実質的にもぬけの殻同然になることも少なくない。「抑止力」論は、基地を沖縄に置き続けるために後から取って付けた理屈にすぎない。
 安全保障に対する知識も信念もないまま、甘言を弄(ろう)しただけだった。普天間飛行場の県外・国外移設を期待して民主党に投票した多くの県民からすれば、詐欺に遭ったに等しい。揚げ句の果てには、成立時に民主党が反対した米軍再編推進法を盾に、再編交付金をちらつかせて名護市に辺野古移設の受け入れを迫る始末だ。
 「企業団体献金を禁止する」「税金の使い道をすべて明らかにする」「取り調べの可視化で冤罪(えんざい)を防止する」といった政権公約もなし崩しにされている。
 現状を正当化するため「マニフェストにこだわる必要はない」と言い放つ向きもある。選挙では、いくらうそ八百を並べても構わないと公言するようなものだ。総選挙で信を問うこともせずに公約を転換するのはどう考えても筋が通らない。

頂点極めた伝統芸能
 低迷する日本経済を振り返ると、頭に浮かぶのは「滞」の1文字だ。11月の全国の完全失業率(季節調整値)は前月と同じ5・1%。政府は11年度経済見通しで「景気は持ち直し、経済成長の好循環に向けた動きが進む」と指摘している。素直に信用するのはよほどの楽天家に違いない。政府が言うように、予算、税制等による新成長戦略の本格実施で雇用や所得環境が本当に改善するのか。持ち直すと言われても、国民の多くは実感が湧かないだろう。
 官界に目を向けると、ぬれぎぬを意味する「冤(えん)」が真っ先に思い浮かぶ。厚生労働省の文書偽造事件で元局長村木厚子さんの無罪が確定、大阪地検特捜部の証拠改ざん隠蔽(いんぺい)事件に発展した。特捜検察への信頼は完全に失墜したが、最高検は取り調べの全面可視化さえ打ち出せず、冤罪を生む土壌は変わっていない。
 中央政治家のうそ、お粗末な経済政策、捜査機関による権力犯罪が白日の下にさらされる一方で、ひときわ脚光を浴びたのが沖縄のスポーツ界と伝統芸能だった。興南の春夏連覇、美(ちゅ)ら島沖縄総体での県勢の活躍、プロゴルファー宮里藍さんの米ツアー5勝に加え、「組踊」がユネスコ無形文化遺産に登録されたのは大きな朗報だった。沖縄のスポーツ・伝統芸能を漢字で表すと「頂」という1文字が最もふさわしい。
 歓喜と憤怒が交錯した2010年もいよいよきょうでおしまい。11年は誰もが笑顔で幸せに過ごせる年であってほしい。