名護防衛事務所 日本政府は「悪代官」か

 強い者にはこびて弱い者には権力を振りかざす。時代劇に登場する悪代官の特徴だ。強い米国に一言も物が言えず、弱い沖縄には強硬な態度に出る。今の日本政府は映画でお目にかかる「悪代官」そのものに映る。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を推進するため、沖縄防衛局が3月末までに辺野古地区に「名護防衛事務所」を開設すると言うのだから驚く。
 稲嶺進名護市長をはじめ市民の大半が普天間飛行場の受け入れに反対する中で、事務所を設けて何をするのか。懐柔と恫喝(どうかつ)の拠点として機能させるつもりか。県外・国外移設を求める沖縄の民意は「アメとムチ」で分断されるほどもろくはない。しかも44人もの職員を事務所に配置するという。それこそ税金の無駄遣いだ。
 県は嘉手納飛行場より南の米軍施設の返還を見据えた跡地利用施策に関し、事業の実施主体を国の責務として国が決める、現行の沖縄振興特別措置法で示された枠組みを変更し、基地が返還される中南部地域を「中南部都市圏広域跡地(仮称)」に指定する、といった基本的な考えをまとめた。
 2006年の在日米軍再編・日米合意は(1)嘉手納飛行場より南にある施設の返還は海兵隊のグアム移転完了にかかっている(2)グアムへの海兵隊移転は普天間飛行場代替施設の完成に向けた進展と日本政府の資金的貢献にかかっている―と明記した。清水と濁水をセットにして同時に飲ませる内容だ。
 これらのパッケージから「濁水」を切り離さない限り、県の考え方も「絵に描いた餅」の域を出ない。一体的に実施するという制約を取り除くことが不可欠だ。
 政府側は県の要求を逆手に取り、嘉手納より南の基地跡地利用の充実を“餌”にして、普天間飛行場の辺野古移設をのませようと働き掛けを強めるに違いない。
 「悪代官」はどんな手でも使ってくる。仲井真弘多知事は、政府のペースに引き込まれないよう留意しつつ、昨年の知事選で公約した「日米共同声明の見直し」「普天間飛行場の県外移設」を何としても実現してもらいたい。
 県民の大多数は「普天間」の県外・国外移設または無条件返還を望んでいる。県民が一致結束することで、基地を押し付ける政府の圧力をはね返したい。