米兵処分非通告 「属国」扱いから脱却せよ

 2008年8月にうるま市で起きた死亡事故で、対向車線に進入して事故を起こした米海軍女性兵士について、日本政府が米側に処分結果の照会すらしていなかったことが明らかになった。

 国民を死に至らしめた事案だ。事態を引き起こした者の処罰を求めるのは政府の当然の責務だろう。それを求めない外務省は、亡くなった被害者を同胞と思っていない、そう指摘されても仕方あるまい。
 これで主権国家といえるのか。ふがいない対応に、憤りを通り越して情けなくなる。
 米側も処分結果を日本側に通告していない。日米地位協定には「全ての事件の処理について相互に通告しなければならない」とあるから、不平等な地位協定にすら違反している可能性がある。
 警察は、対向車線に進入した女性兵士の乗用車がバイクの男性と衝突したと認定した。にもかかわらず、亡くなった男性の遺族が弁護士から聞いたところによると、女性兵士は「バイクの方が進入してきた」と抗弁したという。基地内での裁判に日本側は全く関与できない。これでは相手の言い分だけがまかり通ることになる。
 遺族は関係者から、米兵本人が事故の1年後には沖縄を離れたと聞いた。そもそも処分らしい処分すら受けていない可能性がある。
 米軍絡みの事件事故は往々にしてこのような理不尽がまかり通る。仲井真弘多知事が「仮に公務中でも、若者をはねて死亡させ、日本で裁判できないのは理解不能だ」と批判したのもうなずける。
 1953年の日米合同委非公開議事録によると、日本側代表は「(米兵の事件なら公務外でも)特に重要な事案以外、日本側は第一次裁判権を行使するつもりがない」と述べている。いわゆる裁判権放棄の密約だ。
 法務省が全国の地検に対し「重要と認められる事件のみ裁判権を行使する」と通達した文書も見つかった。
 地位協定によって「公務中」なら米兵を日本側では裁けないが、密約はさらに、公務外であっても裁かないと約束する。まさに植民地と宗主国の関係そのものだ。
 今回の事故の不起訴も、処分を求めようとしない態度も、こうしたいびつな関係の表れにほかならない。戦後66年もたつ。日米地位協定を抜本的に改定し、「属国」から脱却してもいい時期だ。