再生エネルギー 脱原発の国家戦略急げ

 「原発震災」で、原発に頼る日本のエネルギー政策は破綻した。まずこの現実を直視したい。
 原発増設を盛り込んだ現在の「エネルギー基本計画」を廃棄し、脱原発のグリーンエネルギー戦略の構築と実現を目指したい。
 脱原発は世界的な流れだ。2010年の世界の発電容量は、太陽光や風力などの小規模で分散型の再生可能エネルギーが原発を初めて逆転した。

 環境省の試算によると、風力発電を導入した場合、全国で19億キロワットの発電が可能だ。東北地方だけでも東北電力の供給力を大きく上回る3億キロワットの発電が可能だった。
 原発はコストが安いというのは「神話」にすぎない。原子炉の建設コストは高騰している。廃炉には1基当たり数千億円掛かるといわれる。賠償リスクを加えるとさらにコストは膨らむ。
 米シンクタンクは、原発より小規模分散型の発電を増やす方が、電力を早く供給できるだけでなく、年間の費用も安く済むという調査報告をまとめている。省エネや再生可能エネルギーへの投資は不確定要素が少なく、二酸化炭素(CO2)の排出量も大幅に減らせるという。
 原発など大型発電所を集中的に立地する現行の電力供給体制は、大震災に対してもろかった。だが、小規模分散型発電は逆に震災に耐えた。今回の地震と津波で原発は大きな被害を受けたが、風力発電装置はほとんど被害を受けず、多くの風車が、地震直後から発電を再開した。
 小規模分散型発電がなかなか普及しない背景の一つに、大型発電を主力とする電力会社が、地域ごとに発電から送配電までの全てを握り、市場をほぼ独占している実態が指摘されている。
 原発の場合、メーカーやゼネコン、鉄鋼、セメントなど多くの企業が恩恵を受けている。原発を受け入れた自治体には国から交付金、原発から税金が入る。
 今後のエネルギー政策はこうした仕組みと決別し、発電と送配電を分離すべきだ。太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギー技術を確立し、分散型発電に適した高性能の次世代送電網(スマートグリッド)を開発すれば、先端技術で世界をリードし市場開拓につながる。
 分散型発電の建設と新しい送電網整備に国家予算を集中的に投入すれば、雇用創出につながり経済再生にも寄与するだろう。



琉球新報